あらためてクローズアップされるJavaデスクトップのメリット--高度なルック&フィールを提供する「Nimbus」の実力とは

 Webベース・アプリケーションばかりが脚光を浴びる昨今、Javaデスクトップ技術は今後も重要な役割を果たしていけるのか——。こうした問題意識の下で企画されたコンファレンス「Desktop Matters」が3月8・9日に米国カリフォルニア州サンノゼで開催された。

 Javaデスクトップ・アプリケーション開発者向けに開催されたこのコンファレンスでは、Javaデスクトップ・アプリケーションの開発に使われるコンポーネント技術「Swing」に焦点が当てられたが、Java Webフレームワーク「Spring」やオープンソースのJava対応統合開発環境「NetBeans」などの技術も取り上げられた。

 8 日午後に行われた開幕基調講演では、コンファレンス主催者のベン・ガルブレイス氏とディオン・アルマー氏が、人気のWebアプリケーション構築技法である Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)と対比させながら、Swingなどのデスクトップ技術のメリットや重要性を強調した。両氏はajaxian.comの共同創設者である。

 両氏は、デスクトップ・アプリケーションとWebアプリケーションはお互いに似通ってきていると強調した。「Webがデスクトップ風になり、デスクトップがWeb風になっている」(アルマー氏)

 両氏によると、SwingとAjaxは、利用可能な視覚効果やコンポーネント・サポートといった点で近づきつつあるという。実際に、Microsoft Officeシステムのようなデスクトップ・アプリケーションのホスティング版も登場し始めている。

 一方、Ajaxアプリケーションは、Zoho Officeのようにデスクトップ・アプリケーションの“クローン”を目指していると、ガルブレイス氏は解説する。

 両氏は聴衆の質問に答えながら、デスクトップ・アプリケーションがWebアプリケーションよりも優れていると考えられる領域を多数挙げた。例えば、ローカル・ストレージへのアクセス、グラフィックス・パフォーマンス、メモリ消費、機密データのローカル保存などである。

 また両氏は、デスクトップJavaは高速に動作するが、Ajaxは動作が遅いと指摘する。ただし両氏は、オフラインDojo Offline Toolkitにより、Ajaxのオフライン・サポートの向上が計画されていることも合わせて紹介した。

 さらに、ガルブレイス氏は、Swingアプリケーションのルック&フィールの魅力を高めることを目指す「Nimbus」プロジェクトについても紹介した。 NimbusはJava.net上で運営されているオープンソース・プロジェクトで、その技術はサン・マイクロシステムズによって開発された。ガルブレイス氏によると、Nimbusは視覚的には、Mac OS Xや、Windows VistaのAeroインタフェース技術に似ているという。

 「全体的に、Nimbusが提供するルック&フィールは、Swingで提供されてきたものより格段に優れている」と同氏は強調した。

 Nimbusでは、画面スペースの有効活用につながる可変サイズのウィジェットや、ユーザー・インタフェースのスプリット・ペインのネストなどの機能が提供される。

 今年5月8日にサンフランシスコで開幕するJavaOneコンファレンスでは、Nimbusの1.0ベータがリリースされる予定になっている。NimbusはJava 5で基本部分がサポートされ、開発が進められているJava 7では全体が統合される見通しだ。

 このほか、Desktop Mattersコンファレンスでは、Swingのオープンソース拡張を提供するSwingXについての説明も行われた。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

「Desktop Matters」のサイト http://www.desktopmatters.com/

提供:Computerworld.jp