お名前.com VPSでの安価な負荷分散運用とスナップショット&バックアップ 2ページ

VPSサーバーのバックアップを考える

 お名前.com VPSでバックアップ方法を考えた場合、新機能であるスナップショット機能を使うか、Linuxサーバーであれば一般的なLVMによるスナップショットを利用したファイルまたはボリュームのリモートコピーの2つが有力な候補となるだろう。

図8 お名前.com VPSでのバックアップ

 お名前.com VPSのスナップショット機能は、ディスク全体を手軽にバックアップ&リストアでき、履歴管理も行えるメリットがある。ファイルシステムも選ばないので任意のOSで利用できる。ただし、バックアップやリストアの実行時にはシステムを一度停止する必要がある。

 一方、LVM構成によるバックアップの場合、インストール時にファイルシステムをLVMとして確保しておく必要がある、パーティション設計に留意する、操作に多少手間がかかるなどがあるものの、サーバーを稼働させたままバックアップを取得することが可能である。

 それぞれにメリット、デメリットがあり、併用することも有効な手段として検討できる。それぞれの手順を紹介していこう。

ディスクイメージを保存するスナップショット機能

 お名前.com VPSに追加されたスナップショット機能は、利用しているディスクイメージをまるごと保管し、任意の時点の状態に戻すことができるものである。

図9 スナップショット機能

 システムアップデート前に全体のスナップショットを取得しておけば、万が一アップデートでシステム動かなくなってしまったときにすぐに戻せるようになるし、複数のOS環境をテストしたいときに、いくつかのイメージスナップを作っておき、1台分のVPS契約で切り替えて使うといった「節約」も可能だ。

 この機能の留意点としては、

  • 取得・ロールバック時に仮想マシンを停止する必要がある
  • スナップショットのイメージファイルは取り出せない
  • 利用している領域がプランのディスク領域上限の50%未満である

の3点がある。たとえば1GBメモリプランのディスク100GBであれば、利用領域が50GB未満であればスナップショット機能が利用できる。

スナップショット機能の利用手順

 スナップショットを利用するには、該当の仮想マシンを停止し、コントロールパネルの「スナップショット」タブのところで、「スナップショット取得」ボタンを押すだけだ。

図10 スナップショット取得

 確認のポップアップが表示され「はい」を押すと速やかにスナップショット取得が完了する。利用中の容量やそのときの実行状態にもよると思われるが、20GB程度であればすぐにスナップショット取得は完了する。

 取得したスナップショットは前述の図9のように、時間とラベル、○で表示され、○の部分をクリックするとポップアップのダイアログが表示され、30文字までのラベルの編集と、ロールバック、イメージの削除が行える。

図11 スナップショットのラベル編集とロールバック

ファイルイメージを縮小化するコンバート

 スナップショット機能を利用するにはディスク使用量が契約容量の50%未満という条件があるが、このディスク使用量は仮想マシンで確保しているパーティションのサイズではなく、実際にファイルなどが置かれているサイズで、仮想ディスクイメージファイルのサイズである。スナップショット機能に用意されているコンバート機能を使えば、ディスクイメージ中の利用されていない領域を整理し、ディスクイメージを小さくできる。

図12 スナップショット機能のコンバート

 この機能によって、コントロールパネル上の表示で50%を超えている場合でもスナップショット機能が利用できる可能性はある。また、長期稼働の環境ではイメージファイルに無駄な領域が多くなっており、ディスク使用量を縮小できる可能性もある。

 コンバートの注意点としては、実行することによって過去に取得したスナップショットもいったん削除され、リセットしたような状態になることである。稼働中のシステムはもちろん残るが、過去のスナップショットを残したい場合は該当バックアップにロールバックしてから実行するように注意しよう。

 なお、コンバート実行前にファイルシステム上の空き領域に/dev/zero(0)を書き込んで任意のデータ残骸を削除しておけば、縮小可能な領域が増え、効率が高まる。パーティションを分割して利用していればそのパーティションごとに実行する。たとえば/varを分割して利用していれば/var/zeroなどの適当なファイルに0を書き込み、削除する。

# dd if=/dev/zero of=/var/zero ; sync ; rm /var/zero