Mozilla、「Thunderbird」の“切り離し”を検討中――「MozillaはFirefoxの開発に専念する」とCEO
Mozilla Foundationの子会社、米国Mozilla CorporationでCEOを務めるミッチェル・ベイカー氏は7月25日、自身のブログで、ThunderbirdをMozillaから切り離す考えがあることを明らかにした。
ベイカー氏は、「MozillaはFirefoxの開発に注力しており、Thunderbirdの開発はおざなりになっている。この状況は当分改善されそうにない」と現状を説明したうえで、「Thunderbirdのユーザー・コミュニティが、Thunderbirdの運命を決定できるようにするには、Thunderbirdを独立した組織にゆだねたほうがよい」という見解を示し、3つの選択肢を提案した。
1つ目は、Mozilla Foundationと同様の新たな非営利団体を設立することだ。このモデルは組織としての独立性は高いが、組織構成が複雑になり資金も必要となる。ベイカー氏は「Thunderbirdで収益モデルが確立できれば、営利目的の子会社が設立できる」と記している。
2つ目は、Mozilla Foundationの新たな子会社を設立し、Thunderbirdに関する一切を譲渡することである。このモデルは、1モデル目ほど資金を必要としないものの、“Thunderbirdが後回しにされる”という問題は残る。
3つ目は、Thunderbirdをインターネット・アプリケーション「SeaMonkey」のようなコミュニティ・プロジェクトとして独立させ、小規模なサービス会社を設立してユーザー・サポートを行うことである。
ベイカー氏は「多くのオープンソース・プロジェクトが、3つ目のモデルを採用している。このモデルは2つ目の子会社設立モデルよりもシンプルで効果的かもしれない」としたものの、「課税対象の企業とは異なり、非営利団体として『サービス会社』を設立することは、きわめて難しいだろう」と指摘している。
Thunderbird共同開発者のスコット・マグレガー氏は、別のブログに「わたしは3つ目のモデルを支持する。共同設立者で同僚のデビッド・ビエンベニー氏も同意見だ」と記している。
しかし、Thunderbirdで問題となっているのは、組織構造だけではない。Webブラウザ経由でどのPCからでもアクセス可能なWebメールが台頭するのに伴い、スタンドアロンの電子メール・ソフトウェアは、その存在価値が問われている。
この点についてベイカー氏は、「電子メール・ソフトウェアの新たなビジョンを創造し、それを実現する必要がある」とし、付加価値となる機能を充実させる重要性を指摘した。
(ジョン・ブラウ/IDG News Service デュッセルドルフ支局)
Mozilla Foundation
http://www.mozilla.org/
提供:Computerworld.jp