Novellの支援打ち切りでオープンソース・プロジェクト「Hula」が存続の危機

 米Novellが立ち上げたオープンソースのコラボレーション・サーバ開発プロジェクト「Hula」が危機に瀕している。同社がスタッフと資金の提供を打ち切り、プロジェクトから手を引いたためだ。

 NovellがHulaプロジェクトへの支援をやめたことは、Hulaメーリング・リストへの投稿で明らかになった。投稿したのは、Hulaを担当していたNovellの社員、ピーター・テイヒマン氏。同氏は11月28日付けのメールの中で、「当社はHulaプロジェクトが投資に値しないと結論づけた」と述べている。テイヒマン氏をはじめ、HulaプロジェクトにかかわっていたNovellのスタッフは、今後は同社で新しい仕事を担当することになる。

 もっとも、Novellのスタッフが抜けたからといって、このプロジェクトが終わるわけではないという希望をテイヒマン氏らは持っているようだ。「われわれは今でもHulaのことを本当に気にかけている。指導的役割を引き受けてくれる人間がコミュニティの中にいると信じている」と同氏はメールに記している。

 Hulaプロジェクトの目的は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やIMAP(Internet Message Access Protocol)などを使用したカレンダー/メール用コラボレーション・サーバの開発にあった。だが、昨年の初めにこのオープンソース・プロジェクトが発表されたとき、一部のアナリストや専門家は代わり映えしないメール・サーバなど市場は求めていないとして、プロジェクトの意義に疑問を投げかけた。

 もちろん、そうした声はNovellの耳にも届いていた。しかし、同社はその後もスタッフと資金を投入し続け、プロジェクトを支援してきた。

 テイヒマン氏は投稿の中で、「Hulaチームが開発を行ってきたメール・サーバは、私にとって非常に興味深いものだった」と評価しつつも、かねてからHulaサーバの必要性に不安を抱いていたことを示唆している。

 「Hulaは確かに強力なメール・サーバだ。しかし、ほとんどの企業/組織はすでにメール・インフラストラクチャを整備している。彼らがHulaに興味を持ったとしても、SMTPやIMAPの設定をやり直す必要があると知ったら、導入をあきらめるかもしれない」(テイヒマン氏)

 テイヒマン氏からの知らせに対して、Hulaプロジェクトに携わった一部の開発者は、オープンソースの統合メール・プラットフォームへのニーズが認められる以上、プロジェクトを継続してほしいとの声を寄せている。

(ナンシー・ゴーリング/IDG News Service ダブリン支局)

Hulaプロジェクト
http://www.hula-project.org/Hula_Project

提供:Computerworld.jp