IBM、オープンソースのシステム管理構想「COSMOS」を共同提案へ

 米IBMは9月8日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の管理を主要目標の1つとしたオープンソース・ベースのシステム管理開発構想を複数のベンダーと共同でEclipse Foundationに提案することを明らかにした。これは、マサチューセッツ州ケンブリッジで開催された「EclipseWorld 2006」(9月6〜8日)の講演でIBMの幹部が語ったもの。

 IBMのシニア・ソフトウェア・エンジニア、マーク・ワイツェル氏によると、新構想は「COSMOS(Community-driven Systems Management in Open Source)」(仮称)と呼ばれているもので、システム管理ツールを核とするEclipseのトップ・レベル・プロジェクトとして提案されるという。

 COSMOSの目的について、ワイツェル氏は、「SOAやその他の環境の管理を可能にすることにある」と説明している。ただし、Eclipse FoundationにCOSMOSを正式提案する具体的な期日については明らかにしなかった。

 同氏によると、COSMOSの主な要素には、データ収集やサーバ・コンポーネント管理、ユーザー・インタフェースによるモニタリング、リソースのモデリングおよびデプロイメントなどが含まれるという。

 また、リソース診断(Instrumentation)も重要なコンポーネントに位置づけられており、「WSDM(Web Services Distributed Management)」、「JMX(Java Management Extensions)」、Open Groupの「ARM(Application Resource Measurement)」などの業界標準もCOSMOSでサポートされる見通しだ。

 その他のプロジェクト、例えば、「Eclipse Corona」アプリケーション・ライフサイクル管理プロジェクトや「Eclipse Test & Performance Tools Platform」なども、COSMOSで重要な役割を果たす可能性がある。

 EclipseWorld 2006ではこのほかに、米国アキュレブ(Accurev)が「AccuBridge for Eclipse」の機能拡張を発表している。AccuBridge for Eclipseは、Eclipse統合開発環境(IDE)を使用する開発者が同社のソフトウェア・コンフィギュレーション管理機能にアクセスできるようにするためのプラグイン・ツールである。

 機能拡張には、Eclipseプロジェクトのソース・コードを閲覧するためのプロジェクト・ウィザード、コード比較のためのネーティブEclipse diffツールの使用、Eclipse Teamメニュー内からAccuRevの高度な継承マージ機能を使用できる能力が含まれる。

 また、同期化ワークスペース・ビュー、プロジェクトレベル・ステータス表示アイコン、Eclipseの「compare with」メニューを介して公開できるdiff機能など、ユーザビリティの強化も図られている。

 一方、米国ロジックブレーズは9月6日、同社のオープンソースSOAプラットフォーム「FUSE」用に、「Eclipse Web Tools Platform(WPT)」をベースにした統合開発環境「LogicBlaze FUSE Development Environment」の提供を開始したと発表した。

 同ツールは、開発者が標準Java Business Integration(JBI)コンポーネントを活用してインテグレーション・プロジェクトを容易に設計できるようにするGUIを備えている。

 また、コンフィギュレーション&デプロイメント・コントロールをサポートしており、Apache Maven(オープンソースのプロジェクト管理&ソフトウェア・ビルド・ツール)べースのオブジェクト・モデルによるインテグレーション・コンポーネントのコンフィギュレーション管理などを実現する。

 Mavenによる自動コード生成機能、フルEclipseデバッグ機能を備えているほか、Apache Odeエンジンを実装しており、BPEL(Business Process Execution Language for Web services)ベースのオーケストレーション機能もサポートする。

 ロジックブレーズは同ツールをサポート・サブスクリプション契約の一部として提供する。サポート料金は、開発者向けサポート・サービスが四半期6,000ドル、実稼働環境のサポート・サービスがサーバ当たり年間1万ドルとなっている。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp