Linuxの死を結論付けた報告のウソ
全世界における第3四半期のサーバ販売に関するIDCの最新レポートによると、初めてWindowsの市場シェアがUnixのシェアを上回った。これは特に驚くようなことではなく、Windowsの市場における地位は過去10年間上昇していたのであり、一方Unixの収益は伸び悩んでいたのだ。覚えているだろうか、90年代初期にMicrosoftがWindows NTはUnixキラーだと言ったことを。
いや、Unixはまだ死んでいない。だが、Windowsがついにサーバ市場でUnixに追いついたことは事実のようだ。Windowsの曲線とUnixの曲線が販売グラフ上でついに交差したという事実は、内情を知る人には意外でも何でもないが、それをとらえてVarun Dubeyは「サーバ市場でWindows Serverソフトウェアの売り上げがLinuxを上回ったことに、Linuxコミュニティは衝撃を受けた」などと、話をでっちあげたのである。
CoolTechZoneのレポートには、あまりにたくさんのレベルで間違いがあり過ぎて、どこから始めればよいのか困るほどだ。まず1つ指摘するなら、サーバ市場でのWindowsの売り上げは、これまでもずっとLinuxより多かったのである。どうもDubeyは、Unix市場とWindows市場の違いをよくわかっていないようだ。この市場についてほんの少しでも初歩を齧っていたなら、Linuxの売り上げではなくWindows Serverの売り上げの横ばいについて注意を向けたはずである。
今朝方、全世界におけるサーバ販売に関するIDCの四半期レポートにざっと目を通してみた。いろいろとわかったことの1つは、大手ベンダの会計年度がまちまちであったり、第1四半期に支出が集中する傾向があることにより、暦の上の1年間にグラフに現れる山や谷が毎年異なることだ。こういった要因があるせいで、四半期を直前または直後の四半期と比較して得られるものは、前年同期と比較した場合より少ない。
てっとり早い例として、2004年の第4四半期の市場総売上を2005年の第1四半期と比較してみよう。この連続した四半期の比較でわかるのは、市場全体の売り上げが144億ドルから121億ドルへ、20%近く減少したことである。2003年の第4四半期でさえ、2005年第1四半期よりも多い。だが、それを根拠にサーバ市場が縮小していると結論することはできない。なぜなら事実に反するからだ。前年比、つまり2005年第1四半期と2004年第1四半期の比較では、市場は5.3%拡大した。
サーバ市場にWindowsが占める部分とLinuxが占める部分を妥当な観点から比較するため、過去3年間(2003〜2005年)の第3四半期の収益に着目してみた。以下の図でわかるように、この期間にLinuxの収益は7億4,300万ドルから14億ドル、ほぼ2倍に増加した。増加率は88%であるから、かなり健全な割合である。Windowsも順調だが、Linuxと比較すると、35%の増加率は見劣りする。
Linuxの第3四半期出荷額 |
Windowsの第3四半期出荷額 |
IDCの数値は、出荷額しか示していないことに注意してほしい。LinuxもWindowsも、数値には小売による売り上げはまったく含まれていない。もしこれを含めるとしたら、LinuxとWindowsの成長率にはもっと大きな差が出るに違いない。
また、出荷台数においてLinuxがWindows以上の伸びを記録したことをIDCは報告しているが、Dubeyはこれを無視している。IDCのレポートによると、Linuxの出荷台数は前年比20.5%増えたが、Windowsの伸びは15.3%である。どちらのオペレーティングシステムも順調に成長を続けているが、Linuxの成長率はMicrosoft Windowsをしのぐ。
要するに、このCoolTechZoneのレポートは、Info-Techの”研究”(Linuxに対する企業の関心は消えつつあると主張したあれ)と同じ場所にファイルすべき代物だ。どちらも完全なクズである。
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