HPの最初のオールLinux PCの調査報告

HP Compaq d220の告知を7月初めに見てからというもの、早く手に入れたいとうずうずしていた。d220はLinuxをプレインストールしたデスクトップPCとして、Dellの撤退以降、ティアワン(tier-one)OEMによって米国で販売される最初のマシンのように見えた。

ところが、私の実地テストによって、HPがd220にも米国で販売している他のデスクトップにも、Linuxをプレインストールしないとわかったのだ。実際には、d220の購入時にLinuxオプションを選択すると、空のハード・ドライブとMandrake 9.1 Lightを入れた2枚のCDが付いてくる。

私が調べたd220は普通に購入するものとは若干違っており、現在のLinuxモデルでは使用できないCD-RW/DVDコンボ・ドライブが付いていた。HPによれば、これは間もなくサポートされるそうだ。もう1つの違いは、HPがMandrakeをインストールしてから私に渡したという点だ。

このHP Compaq d220デスクトップ・マシンのハードウェア構成は次のとおりだ:Intel 845GVチップセット、128KBのL2が付いた2GHzのIntel Celeron、256MBのPC2700 DDR RAM、400MHzのフロント・サイド・バス、内臓型Intel Enhanced Extreme Graphics、40GBのIDEハード・ドライブ(回転数7200 RPM)、48倍速のコンボ・ドライブ(CD-RW&DVD-ROM)、内臓型オーディオ&内部スピーカー、内臓型10/100 Broadcom 10/100ネットワーク・カード、3.5″フロッピー・ドライブ、PS/2キーボード、2ボタンPS/2スクロール・マウス。すべてのd220に1年間の標準的なオンサイト保証が付いている。

HPが言うには、私の調べたものと同じユニット(ただし、コンボ・ドライブの代わりに48XのCD-ROMまたはCD-RWが付く)が、Linux付きで$467、Windows XP Home付きで$519、Windows XP Professional付きで$589になるそうだ。HPのWebサイトでd220の構成オプションとしていろいろなものを選択してみると、Linuxバージョンのd220で、下は$377から上は$900超になることがわかる。

システム・ユニットとキーボードとマウスは、私の好きなブラック系の色調で統一されている。本体(HPはマイクロタワーと呼んでいる)のサイズは、およそ高さ14″×幅7″×奥行16″である。セットアップは簡単だった。モニタとキーボードとマウスの標準ケーブル接続位置はユニットの背面に明記されている。

HPのキーボードは中程度の重さで、キー・タッチはある程度腰がある。よほど軽くタイプするのでない限り、音によるフィードバックがあった。私たちのようにタイプライタでタイピングを習った者にとっては、キーを完全に押したときにだけクリック音のするキーボートが使いやすい。

ケーブル類をすべて接続し終えたところで、電源ボタンを押してMandrake 9.1を起動した。しかし、実際の顧客がやることを経験するため、HPのCDを使ってオペレーティング・システムをインストールし直すことにした。ちなみに、HPは自社のすべてのデスクトップ製品でMandrake 9.1が動作することを保証している。HPによれば、SuSEとRed Hatについても間もなく検証できるそうだ。

インストール・プロセスは典型的なもので、速くて簡単(fast and easy)だった。インストール自体に要した時間は20分足らずだったが、インストールの終わりにソフトウェア・アップデート・プロセスでの問題を解決しようとして時間を喰ってしまった。その問題というは、要するにMandrake 9.2のRC1をダウンロードしようとする人たちがMandrakeのFTPミラーに殺到したことによるものだった。もう一度試してみると、今度は5分足らずでセキュリティ上の修正をすべて適用することができた。

私が思うに、Mandrake Lightという名称は、フル装備のソフトウェアでないからというより、普通なら小売されているMandrakeに含まれているはずのソース・コードと一部のコマーシャル・バイナリが含まれていないことに由来するのではないだろうか。インストールが完了したとき、これといって欠けているアプリケーションはなかったからだ。

Mandrake Lightにはビジネス・システムに期待されるようなオフィス・ツールと生産性ソフトウェアが数多く含まれている。OpenOffice.orgとKOfficeは完全な形で入っていた。スプレッドシートは私の好きなgnumericだ。その他にも、Frozen Bubbleなどのゲームや、多数のブラウザと電子メール・クライアント、それにいくつかのIMクライアントが含まれていた。

HPもMandrakeもLinuxの無料サポートは行っていない。しかし、購入時のオプションとして電子メールまたは電話によるMandrakeサポートが用意されている(このサポートをMandrakeSoftから直接購入することもできる)。

インストール時にはDVDドライブの回転音がかなり耳についたが、インストール後にシステム・ソフトウェアを調べたときには静かだった。そこで、なぜそんなに静かなのか、ケースの内部を覗いて調べてみることにした。

背面にある2つの蝶ネジを緩めて外し、ケースの側部をスライドさせて中を覗くと、大きな黒いバッフルがCPUを覆っており、それがケース背面の排気口に取り付けられている。そこにCooler Masterという文字を見つけ、私は感心した。d220にCooler Masterが標準装備されているのかとHPに尋ねると、そのとおりだとのことだった。

ケースを完全に開けたところで、運転時にどうして静かなのか調べたくなり、側部を取り付けずに接続だけをやり直して、再び電源を入れた。開いたケースに耳を近づけると、ハード・ドライブから微かなノイズが聞こえたが、CPUや電源ファンからは何も聞こえなかった。

2GHzのCeleronと256MBのDDRメモリを実装したd220のパフォーマンスは十分以上である。しかし、それ以上の速度とメモリを必要とする人は、両方とも手に入れることができる。2.80GHzのPentium 4プロセッサと533MHzのフロント・サイド・バスと512MBのDDRメモリを搭載したシステムにまでアップグレードできるのだ。

ビデオとLANとサウンドはメインボードに組み込まれているので、3つのPCIスロットが全部使える。

更新:慧眼な読者のご指摘どおり、私はモデムのことに触れなかった。d220はホーム・ユーザではなくビジネス・ユーザをターゲットにしているので、モデムに言及する必要はあるまいと思ったのだ。Linuxバージョンのd220にはモデム・オプションがない。Windowsバージョンのd220にはモデム・オプションがあるが、これはWinmodemだ。HPによれば、このモデムのLinuxドライバをインターネットから入手できるそうだ。Linux d220でダイヤルアップが必要なら、自分でモデムを用意しなければならない。

プレインストールについて言えば、Linuxをプレインストールしたデスクトップの有力なベンダが出してくるまで、もう少し待つ必要があるだろう。d220に関するHPとの電話会議の後、HPのスポークスマンであるTim Constanceが補足の電子メールで次のように述べていた。「Linuxには多くのフレーバーと地理的な好みがあるため、HPは最初のブートアップで付属のMandrake Linuxオペレーティング・システムと自分の好みのシステムのいずれをインストールするか顧客に選んでもらう。当社ではこのインストール方式の評価を継続して行い、顧客のニーズに合ったインストール・プログラムを実装するつもりだ」

結論を言えば、d220は十分に価値のある品で、静粛で造りがよく、特に値段の割りによくできていると言える。私も自分で使うために本気で購入しようかと思っているが、LinuxをプレインストールするOEMが現れるまで待ちたい気もする。

Joe Barr――IT分野のライターとして10年(Linuxについては5年)の経験を持つ。IBM Personal Systems Journal、LinuxGazette、LinuxWorld、Newsforge、phrack、SecurityFocus、VARLinux.orgなどに掲載記事多数。Linux Liberation Armyの公式ニューズレター、 The Dweebspeak Primerの生みの親でもある。