Linuxのすすめ

花のつぼみがほころび、カメが恋の歌を歌う、そんな春の4月23日、MicrosoftはWindows Server 2003のリリースを予定している。しかし、ちょっと待ってほしい。Windowsを使用している企業はこれを機に、Linuxへの移行を検討してはいかがだろうか。

Windows NT Server 4.0を依然として使用している企業は多い。しかし、Microsoftは 早くもWindows NT Server 4.0のサポート終了予定を アナウンス している。セキュリティ以外のすべての問題に関するホットフィックスの提供は2003年末、 セキュリティに関するホットフィックスの提供は2004年末で終了するとのことだ。 このような期限を切られて、ユーザはサーバインフラストラクチャをどうアップグレードすべきかの判断を迫られているわけだ。Microsoftの有料プログラム Software Assurance に参加しているユーザにはサーバOSのアップグレードが保証されており、これはWindows 2003 Serverにも適用される模様だ。しかし、アップグレードのたびにお金を搾り取ろうとするMicrosoftのやり口に反旗を翻すユーザ企業も多い。そのような企業にとって魅力的なのがLinuxだ(もっとも、それなりの専門知識が必要とされるが)。

Linuxに対する障壁の1つとして挙げられるのが、単なる「なじみの薄さ」だ。それならば慣れてもらえばよい。トレーニングの機会を提供することで、企業は社員のスキルを高レベルに維持できる。社員にとっても、自身のスキルレベルと職務に自信を持つことができるというメリットがある。

しかし、今、企業はすべての部門で経費節減を求められている。社員教育についても同様だ。社内に講師を招くのは高くつく。社員をスクールに通わせるのはもっと難しい。日中の労働力が奪われるばかりか、交通費や授業料などの経費を負担しなければならないからだ。

幸い、オープンソース・ソフトウェアについては、実地トレーニングは思いのほか安く上げることができる。どこかから眠っているマシン(Windows 2003 Serverを搭載するわけではないから非力なものでよい)を引っ張り出してきて、適当な ディストリビューション をダウンロードするかISVから購入し、管理者権限を設定しさえすればよい。

ところが、大方の企業ではトレーニングのかけ声が上がるだけで、実際にトレーニングの時間が設けられることはあまりない。しかし、システム管理者たらんとするもの、自分のスキルが劣っていると感じた場合、自社または他社のほかの管理者になんとか追いつこうと努力するものだ。

この社員の学習意欲を利用すればよい。週に1、2時間はLinuxで作業する時間を与えたいものだ。その作業内容はほかのオペレーティングシステムで経験済みのものがよいだろう。そのわずかな時間でさえ確保できない場合は、Linuxマシンを職場に置いておくだけでもよい。やる気のある管理者なら、自分で時間を見つけて使い方を覚えようとするはずだ。なお、社員の中にSolaris、AIX、HP-UXのエキスパートがいれば儲けものだ。彼/彼女を講師役に指名し、ほかの社員の指導を任せればよい。

社員に慣れてもらいたいのは主なLinuxコンポーネントのほかに、Samba、lpr、lpd、Apache、メールサーバ(qmailやsendmail)、cpio、ipchains、iptables、Snortなどのアプリケーションだ。彼らに割り当てる作業と目的はバラバラでよい。たとえば、現在使用しているのと同等のファイルサービス、プリントサービスを実現するよう指示するのもいいだろう。ほかに、Exchange Serverからオープンソースのメールサーバへの移行を指揮させたり、セキュアなサブネットの設計と監視を任せることも考えられる。

このようにして社員が得た経験は、すぐに生かす機会はないかもしれない。しかし、新しいサーバOSの選択の幅が広がるので、中長期的に見れば企業にとって財産となる。

新たに獲得したスキルに関して資格取得を目指す社員も出てくるだろう。資格を持っていれば、第三者機関が実施するテストに合格したことの証明になる。Linuxの管理に関しては Linux Professional Institute 、 CompTIARed Hat などのグループが資格認定試験を実施している。各社の人事部門もこれらの資格の意義を認めているようだ(私自身はあまり興味ない)。スクールに通うのも、独習書を買うのもいいが、実地トレーニングで積んだ経験にかなうものはないだろう。