「Ubuntu 18.04 LTS」リリース
英Canonicalは4月26日(英国時間)、Linuxディストリビューション「Ubuntu 18.04 LTS(Bionic Beaver)」を公開した。デフォルトのディスプレイサーバーはWaylandからX.orgに戻っている。
Ubuntu 18.04は2017年10月公開の「Ubuntu 17.10(Artful Aardvark)」に続くもの。 Canonicalは5年間セキュリティアップデートを提供する長期サポート版(Long Term Support、LTS)を2年おきにリリースしており、2016年4月に公開された「Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)」以来のLTS版リリースとなる。Ubuntu 18.04のサポート期間は2023年4月まで。
Linuxカーネルは4.15を採用した。CPUの脆弱性であるSpectre、Meltdown向けの対策を行ったほか、Python 3系のバージョンが3.6となった。Python 2はデフォルトではインストールされない。また、今後のLTS版ではPython 2系が提供されないことも示唆している。
デスクトップでは、引き続きGNOME 3.28がデフォルトのデスクトップ環境となる。ディスプレイサーバーは、17.10で採用したWaylandではなくX.orgがデフォルトとなった。Waylandはテクニカルプレビューとして提供され、LTSでは次期版(2020年リリースの「Ubuntu 20.04」)でデフォルトになる予定。
新たに最小インストールオプションも加わった。Webブラウザとコアのシステムユーティリティを含む基本的なデスクトップ環境をインストールできる。また、32ビットインストーラーイメージの提供はなくなっている。
Ubuntu Serverでは、マルチクラウド、コンテナ実装・管理Kubernetes、AIに関連した機能強化が目玉となる。主要なパブリッククラウド上での起動時間を高速化し、ストレージと処理能力の要求が高い機械学習などのタスク向けに最適としている。
CanonicalのKubernetesディストリビューション(CDK)では、Kubernetes向けの機械学習ツールキットKubeflow、それに継続的インテグレーション(CI)/継続的デリバリー(CD)ツールも統合した。CDKはKubernetes 1.10をサポートし、パブリッククラウド、VMware、OpenStack、ベアメタルで動く。GPUアクセラレーションをサポートするなどAIと機械学習向けのプラットフォームとして利用できるとしている。
レガシーのワークロード向けのコンテナと位置付けるシステムコンテナマネージャーのLXD 3.0をサポート、このほか、QEMU 2.11.1、libvirt 4.0など最新のものにアップデートされた。OpenStackは2月に公開された「OpenStack Queens」となり、仮想GPUのサポート、Cinderのマルチアタッチなどの機能を利用できる。
NTPプロトコル向けの推奨サーバーがntpdからChronyに変わった。また、Microsoftと共同開発したHyper-Vに最適化されたイメージを利用して、WindowsでのUbuntu仮想マシン体験が高速になるとしている。
デスクトップ、クラウドの仮想マシン、サーバーなどで動くパッケージSnapでは、Slack、Firefox、Skype、Spotifyなどが新たに登場した。
このほかにも多数の細かな機能強化が加わっている。
英Canonical
https://www.ubuntu.com/