太陽光関連業者の倒産、21年度上期は39件発生 3四半期ぶり増加

大型倒産が増加、負債総額は前年同期比3.4倍

太陽光関連業者の2021年度上半期(2021年4~9月)の倒産件数は、年度半期ベースで3半期ぶりに増加に転じた。2020年度以降、大型倒産の発生などで負債総額は急増しており、今年度上半期は前年同期比3.4倍の大幅な増加となった。集計を開始した2006年4月以降の累計倒産件数は600件を突破した。

<調査結果(要旨)>
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太陽光関連業者の2021年度上半期(2021年4~9月)の倒産件数は39件(前年同期比4.9%減、前期比2.6%増)。年度半期ベースで3半期ぶりに増加した。負債総額は約364億1100万円(前年同期比243.8%増、前期比4.3%減)。高水準の倒産が続くとともに、大型倒産が発生している
「倒産態様別」は、「破産」が36件(構成比92.3%)、「特別清算」が1件(同2.6%)、「民事再生法」が2件(同5.1%)。「負債総額別」は、「1億~5億円未満」の14件(構成比35.9%)がトップで、負債総額5億円に満たない企業が全体のおよそ8割を占めた。一方、アンフィニ(株)(大阪府、9月民事再生法、負債約87億円)、ホームランソーラーパーク(同)(東京都、8月破産開始決定、負債約35億8000万円)などの大型倒産が発生した
「地域別」は、「関東」が15件(構成比38.5%)と突出。「業歴別」は、「10~15年未満」の10件(構成比25.6%)がトップ、次いで「5~10年未満」の8件(同20.5%)。両者合わせて全体の半分近くを占めた。一方、業歴の長い「30年以上」も7件(同17.9%)発生した
「資本金別」は、「1000万~5000万円未満」の19件(構成比48.7%)が最も多く、次いで「100万~1000万円未満」の13件(同33.3%)。合計すると全体の8割強を占めた。「従業員別」は、「10人未満」が32件(構成比82.1%)に達した
2006年4月~2021年9月の累計倒産件数は601件。「業種別細分類別」は、「設備工事業」が144件(構成比24.0%)でトップ。次いで「家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業」の107件(同17.8%)。「倒産主因別」は、「販売不振」が432件(構成比71.9%)に達した

太陽光関連業者の倒産は2020年度上半期以降、半期に40件前後のペースで続いている。2020年度下半期、2021年度上半期と、負債総額が300億円を超えるようになってきたのが大きな特徴だ。

例えば(株)ヤマダエコソリューション(東京都、2020年9月破産、負債約37億7100万円)、(株)JCサービス(東京都、2021年3月民事再生法、負債約153億4200万円)とその関係会社の(株)グリーンインフラレンディング(東京都、2021年4月破産、負債約128億円)、法的整理とはなっていないため今回の集計には含まれていないが、5月から営業停止状態が続いている(株)テクノシステム(神奈川県)など、大型倒産が増えている。

自民党総裁選ではエネルギー政策がひとつの焦点となった。カーボンニュートラル2050は国際的に掲げた公約であり、岸田首相率いる新政権でも太陽光を中心とした再生可能エネルギーを重視する基本的な方針に変更はないものの、原発再稼働とその先の建て替え、新設を見据えた動きが加速するとみられている。

足元では太陽光関連の個別企業の信用情報が目立ってきている。現在の均衡が崩れると来年度以降、年間80件のペースを大きく超えてくるかもしれない。事業環境の変化が太陽光関連業者の倒産にどう影響してくるのか、注視されるところだ。

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今回の調査対象は2006年4月から2021年9月までに発生した601件の太陽光関連業者(※)の倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)。「倒産件数と負債総額の推移」「年度半期ベースの倒産件数と負債総額の推移」「倒産態様別」「負債総額別」「地域別」「業歴別」「資本金別」「従業員別」「業種別細分類別」「倒産主因別」について調査、分析した。

※太陽光関連業者とは、1.太陽光発電システム販売や設置工事、太陽光パネル製造やコンサルティングなど関連事業を主業として手がけるもの、2.本業は別にあり、従業として太陽光関連事業を手がけるもの、両方を含む。
※前回調査は、2021年7月12日。

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提供元: PR TIMES