2021年7月の倒産件数、490件、前年同月からの大幅な反動減

負債総額は734億400万円、7月としては過去最小

帝国データバンクは、2021年7月における負債1000万円以上の法的整理について集計を行った。

<主要ポイント>
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倒産件数は490件(前年同月比42.1%減)と、前年同月からの反動減もあり、7月としては過去最少
負債総額は734億400万円(前年同月比30.0%減)と、7月としては過去最小
負債額最大の倒産は(株)Sharp Document 21yoshida(宮城県、民事再生)の約82億7400万円
業種別にみると、全業種で前年同月から2ケタ減少。製造業(53件、前年同月比49.5%減)、建設業(71件、同40.8%減)、卸売業(69件、同35.5%減)、不動産業(14件、同41.7%減)の4業種が、7月の過去最少の件数を更新した
主因別にみると、「不況型倒産」の合計は387件(前年同月比42.6%減)と、2カ月ぶりに減少した。構成比は79.0%(同0.6ポイント減)を占める
負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は305件(前年同月比42.5%減)、構成比は62.2%を占める
地域別にみると、2カ月連続で全地域が前年同月から2ケタ減少。中国(15件、前年同月比64.3%減)は6割超の減少となり、北陸(16件、同51.5%減)も前年から半減。関東(177件、同43.8%減)と近畿(134件、同41.2%減)は、ともに全域で2ケタ減となった
人手不足倒産は9件(前年同月比50.0%増)発生、2カ月ぶりの前年同月比増加
後継者難倒産は33件(前年同月比28.3%減)発生、3カ月ぶりの前年同月比減少
返済猶予後倒産は30件(前年同月比41.2%減)発生、2カ月連続の前年同月比減少

■件数・負債総額:前年同月からの大幅な反動減
倒産件数は490件(前年同月比42.1%減)と、昨年の最多件数である前年同月からの反動減もあり、2020年5月に次ぐ過去2番目の減少率を記録した。7月としては過去最少。

負債総額は734億400万円(前年同月比30.0%減)と、同じく7月として過去最小を記録し、2カ月連続の前年同月比減少となった。
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■業種別:全業種で前年同月比2ケタの大幅減
業種別にみると、全業種で前年同月から2ケタ減少。製造業(53件、前年同月比49.5%減)では、アパレルなどを含む繊維製品製造業が前年同月から71.4%減少したこともあり、7月としては過去最少の件数。また、建設業(71件、同40.8%減)、卸売業(69件、同35.5%減)、不動産業(14件、同41.7%減)も、7月の過去最少の件数を更新した。サービス業(117件、同44.3%減)では、老人福祉事業(3件、同82.4%減)などが大幅減少となった。

一方、宿泊業(7件、前年同月比16.7%増)は、4カ月ぶりに増加に転じた。
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■主因別:「不況型倒産」は387件、構成比79.0%
主因別にみると、「不況型倒産」の合計は387件(前年同月比42.6%減)と、2カ月ぶりに減少した。構成比は79.0%(同0.6ポイント減)を占めた。
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※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別:負債5000万円未満の構成比62.2%
負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は305件(前年同月比42.5%減)、構成比は62.2%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、小売業(103件)が構成比33.8%(前年同月比5.8ポイント増)で最多、サービス業(78件)が同25.6%(同4.4ポイント減)で続く。
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資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が322件(前年同月比42.1%減)、構成比は65.7%を占めた。

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■地域別:全地域で前年同月比2ケタの大幅減
地域別にみると、2カ月連続で全地域が前年同月から2ケタ減少。全地域減少は今年に入って5度目となった。中国(15件、前年同月比64.3%減)は6割超の減少となり、2000年以降過去最大の減少率を記録。北陸(16件、同51.5%減)も前年から半減した。関東(177件、同43.8%減)は全域で2ケタ減少し、その中で小売業(35件、同49.3%減)とサービス業(49件、同46.2%減)が前年同月から半数近く減少。近畿(134件、同41.2%減)も、全域で2ケタ減となり、特に建設業(10件、同72.2%減)で大幅な減少がみられた。
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■態様別:「破産」は462件、構成比94.3%
態様別にみると、破産は462件(構成比94.3%)、特別清算は15件(同3.1%)となった。
民事再生法は13件で、うち6件を個人事業主が占めた。
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■特殊要因倒産
人手不足倒産:9件(前年同月比50.0%増)発生、2カ月ぶりの前年同月比増加

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後継者難倒産:33件(前年同月比28.3%減)発生、3カ月ぶりの前年同月比減少

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返済猶予後倒産:30件(前年同月比41.2%減)発生、2カ月連続の前年同月比減少

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※特殊要因倒産では、主因・従因を問わず、特徴的な要因による倒産を集計

今後の見通し
■7月の企業倒産 件数・負債とも7月としては過去最低、件数減少率は過去2番目に大きく
2021年7月の倒産件数(490件、前年同月比42.1%減)は、2カ月連続で前年同月を下回り、7月としては2000年以降最少となった。前年同月との比較では、コロナ対応の緊急事態宣言(1回目)のもとで法的整理手続きが滞留した2020年5月(同55.6%減)に次ぎ、過去2番目に大きい減少率を記録した。業種別の件数においては、7業種すべてが前年同月比で減少。なかでも建設をはじめ4業種の件数は7月としては過去最少を記録した。

負債総額(734億400万円、前年同月比30.0%減)は、2カ月連続の前年同月比減少。7月としては初めて800億円を下回り過去最小となった。

■資金繰り支援効果で倒産抑制続く、7月までの累計件数は過去最大の減少率
コロナ禍に苦戦する企業の雇用維持に寄与する「雇用調整助成金」について、特例措置の期限延長を経て、昨年3月から今年7月までの支給決定額は累計4兆円を超えた。これまでの実質無利子・無担保の特別融資(ゼロゼロ融資)をはじめ、借入金の返済条件の緩和対応、各種補助金・支援金などの資金繰り支援が倒産抑制効果として鮮明に表れている。

実際、2021年1~7月累計の倒産件数は、3573件(前年同期比25.4%減)と、前年同期比で過去最大の減少率を記録した。このうち対面型業態では、飲食店(351件、同26.6%減)やホテル・旅館業(40件、同49.4%減)が減少するも、旅行業(17件、同21.4%増)は増加している。

■休廃業・解散件数、観光関連は増加トレンド
企業の休廃業・解散の動向に目を向けると、 1~6月累計で2万8400件(前年同期比 4.6%減)となった。倒産件数推移と比較すると減少率は小さく、さらに業種によっては増加に転じている。「ホテル・旅館」は過去 5年で初めて6月時点で100件を超えたほか、旅行代理店を含めた旅行業の休廃業・解散は過去最多ペースとなっている(「2021年1-6月 全国企業 休廃業・解散 動向調査」帝国データバンク、2021年7月発表)。

借入金など外部資金への依存度が低い企業においても、コロナ禍と人流抑制の長期化を悲観し、業態転換など新たな投資を諦め事業に終止符を打つ事例などが、休廃業・解散件数を押し上げたとみられる。

■感染「第5波」が書き入れ時の業界を直撃、事業継続の可否判断への影響に注目
1年延期を経て東京五輪が開催され、新競技を含め多くの競技で日本選手の活躍が注目を集めた。一方、コロナ禍を背景とした開催で国内経済へのプラス影響は限定的とみられている。足もとでは新型コロナ感染の第5波が首都圏をはじめ各地で顕在化し、深刻な状況となっている。政府の感染拡大防止を目的とした施策展開により、観光やレジャーの自粛、対面型業態の営業制限、夏季開催の各種イベント中止や規模縮小・延期など、8月が書き入れ時となる関連業界へのマイナス影響やその長期化が危惧される。

コロナ禍においても、巣ごもり需要や新しい生活様式への対応により、過去最高益を更新する業界もある。企業の業績回復が「K字型」で二極化するなか、回復に取り残された企業については、長期的な手厚い資金繰り支援が続いている。他方、コロナ禍対応で新たに発生した多額の借入金に加え、後継者問題をはじめ企業の個別課題も複合的に関連していくなど、倒産抑制の水面下でひずみは強まりつつある。事業継続の可否判断を迫られるなか、過剰債務を抱え業態転換を含め長期展望を描けない企業群における、私的整理に難航した末の法的整理など、倒産件数が増加トレンドに移行する懸念は高まっている。

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提供元: PR TIMES