OpenStack Summit Bostonを開催

リモート管理プライベートクラウド、エッジコンピューティング、コンポーザブルインフラストラクチャの進化を発表

OpenStack Foundationは、5月8日から5月11日まで「OpenStack Summit Boston」を開催しています。世界60か国以上から集まった数千人の参加者が、プログラミング可能なインフラストラクチャやコンテナーオーケストレーションフレームワークをはじめとするオープンソーステクノロジーを組み合わせて、高速性、俊敏性、コスト節約を実現する方法について議論を交わしています。

OpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、Jonathan BryceはOpenStack Summit Bostonの開会挨拶で「賢明な組織は能力(Capability)、準拠(Compliance)、コスト(Cost)という3つのCに基づいて、洗練された方法でパブリックおよびプライベートクラウドにワークロードを配置するようになってきている」と述べました。また、OpenStackのエコシステムで急成長する新しいセグメントであるリモート管理プライベートクラウドについて言及しました。リモート管理プライベートクラウドは、少ないコストで多くの成果をもたらす「第2世代のプライベートクラウド」の新時代を、OpenStackコミュニティがどのように先導していくのかを示す好例です。

GEヘルスケアはOpenStack Summit Bostonにて、Rackspaceとの提携から生まれる新たなモデルのメリットを発表しました。GEデジタルのデジタルオペレーション担当シニアディレクター、Patrick Weeksは「リモート管理OpenStackソリューションでは『リフトアンドシフト』によるクラウド環境へのアプリケーションの移行を最も速く行える一方、オンプレミスクラウドでは機密データを保護し、プライベートネットワークで社内アプリケーションにアクセスするメリットが得られる」と述べました。

また、OpenStack Foundationは本日、OpenStack搭載のリモート管理プライベートクラウドソリューションを提供するベンダーを特集した新しいカテゴリーをOpenStack Marketplace(https://www.openstack.org/marketplace/remotely-managed-private-clouds/)で発表しました。

■次の成長の触媒として台頭するエッジコンピューティング
OpenStackはクラウドを越えてエッジに向かっています。ベライゾンでクラウドネットワーク製品マネージャーを務めるBeth Cohenは、OpenStack Summit Bostonにてベライゾンの仮想ネットワークソリューション製品におけるOpenStackの活用方法について概要を示しました。ベライゾンの仮想ネットワークソリューションとは、大規模に分散された「サービスとしてのネットワーク」ソリューションで、コンピューティング、ネットワークおよびストレージリソースをエッジに配置します。エッジでは、IoTを構成するデバイスが急増し、ネットワークに対する新たな需要が生み出されています。

エッジコンピューティングによって、データの発信元やエンドユーザーの近くで大量のデータが即座に処理されるため、レイテンシとネットワークのボトルネックが低減されます。重要なデータは中央のクラウドに戻され、ビッグデータ分析や長期の保存が行われます。インサイト、パフォーマンスチューニングおよびその他の運用強化はエッジクラウドに送信され、ユーザーエクスペリエンスと経済性が改善されます。

OpenStack FoundationのJonathan Bryceは「ベライゾンはエッジコンピューティングの分野でリーダーの役割を果たしているOpenStackユーザーの1社です。OpenStackはすでにテレコム事業者が選定するクラウドソフトウェアとなっているため、エッジにおいても、一元化されたプライベートおよびパブリッククラウドデータセンターにおいても、インフラストラクチャプラットフォームの選択肢としてその位置付けは独自のものとなっています」と述べています。

■コンポーザブルオープンインフラストラクチャの機能を示すライブデモ
OpenStack Summit Bostonの2日目の冒頭には、OpenStack FoundationのCOO、Mark Collierが、コンポーザブルオープンインフラストラクチャとしてのOpenStackの仕組みとOpenStackのさまざまな要素を利用して、他のオープンソーステクノロジーに基づいて有益な形で統合する方法について説明しました。Mark Collierは「私達は、OpenStackがモノリシックでその要素をすべて利用しなければならない、という誤った認識を打破したいと考えています。実際にはOpenStackはストレージ、ネットワークおよびアイデンティティなどの堅牢なサービスの集まりで、それぞれが独自に大きな価値をもたらします」と述べています。

OpenStack Summit Bostonでは、ネットアップのプリンシパルソフトウェアエンジニアを務めるJohn GriffithとOpenStack Foundationのアップストリームデベロッパーアドボケイト、Kendall Nelsonは、標準のDockerツールを使用して、独立したシステムとしてCinderブロックストレージシステムを瞬時にデプロイするデモを行いました。このデモでは、Kubernetes FlexVolumeプラグインとしてCinderが実現する高い完成度と豊富なバックエンドを容易に活用できることが示されました。

また、ミランティスの製品エンジニアリング担当ディレクターを務めるJakub Pavlikは、ベアメタル、仮想マシンおよびコンテナーのプラットフォームとしてのOpenStackの機能についてデモを行いました。Jakub PavlikはデモでSpark、KafkaおよびHadoop分散ファイルシステムを使用して、一般的なOpenContrail搭載ネットワーク上にビッグデータアプリケーションをデプロイしました。

■「Interoperability Challenge」におけるアプリケーションのポータビリティのデモ
5月9日のライブデモでは、OpenStackエコシステムに参加している15のグローバルITリーダー企業と組織がOpenStackクラウド上にKubernetesを同時にデプロイし、コンテナー管理ツールを使用して分散CockroachDBデータベースとNFVアプリケーションを同時にデプロイする「Interoperability Challenge(相互運用性への挑戦)」を実施しました。

「Interoperability Challenge」では、OpenStackにはさまざまなOpenStackパブリックおよびプライベートクラウドでアプリケーションのポータビリティを促進できる強みがあることが強調されました。「Interoperability Challenge」に参加した組織はCanonical、ドイツテレコム、EasyStack、ファーウェイ、IBM、ネットアップ、Platform9、Rackspace、レッドハット、SUSE、T2Cloud、VEXXHOST、ヴイエムウェア、Wind River、ZTEです。

OpenStack FoundationのMark Collierは次のように述べています。「『Interoperability Challenge』は今回が2回目の実施です。1回目は昨年秋のOpenStack Summit Barcelonaで実施し、異なるベンダーが実行する複数のOpenStack環境にワークロードをデプロイしても動作とパフォーマンスに一貫性が確保できることが示されました。2回目となる今回は、OpenStackコミュニティはチャレンジするレベルを上げ、Kubernetesでストレージおよびネットワークの両方の機能を管理するマイクロサービスベースのアプリケーションとの相互運用性を披露しました。このセッションによって、OpenStackコミュニティが相互運用性に対して尽力し、さまざまなOpenStackクラウド間で役立つイノベーションを支持する姿勢を示しました」。

■業界や地域を横断して拡大するユーザーへの導入
2017年4月のOpenStackによるユーザー調査では、登録されているOpenStackの導入数は前年比で44%増加していることがわかりました。導入数の74%は米国以外の国でした。OpenStack Summit Bostonで講演している主要なユーザーは次の通りです。

・Adobe Advertising Cloud
・AT&T
・ブルームバーグ
・CERN
・中国移動
・中国電信
・コムキャスト
・英国国際貿易省
・イーベイ
・フィデリティ
・ギャップ
・GE
・Harvard/Massachusetts Open Cloud
・マサチューセッツ工科大学
・Paddy Power Betfair
・U.S. Army Cyberschool
・ベライゾン

セッションのビデオは、すべてhttps://www.openstack.org/videos/summits/boston-2017で視聴できます。

リリース詳細
提供元: PR TIMES