記事レビュー「FOSSコミュニティの構築と統率」

FOSSコミュニティの構築と統率

FLOSSプロジェクトの立ち上げから初期段階においては、コードを書いてくれる人、コーダーを集めることが何より重要だ。機能がぱっとしないソフトウェアには、どうしたってユーザはつかない。少なくとも、先行きは明るそうだ、という予感くらいは潜在的ユーザに与えられないと、プロジェクトはなかなかうまく成長していかないと思う。

しかし、ユーザが増え、機能的にもある程度成熟した時点で、コーダーの価値は相対的に下がると私は考えている。もちろんあくまで「相対的」にだ。ソフトウェアが成長し、複雑さを増すにつれて、プロジェクト全体を把握している人は減っていく。開発者間で様々な調整が必要となる。情報の共有にも手間暇がかかる。ユーザへの対応もおろそかにできない。ようするに、コーディング以外の仕事、「雑用」の重要性が増してくるのである。

以前、ハックができない人は雑用をやれ、と言って大いに顰蹙を買ったことがあるが、私の考えは特に変わっていない。当り前だが雑用は大変な仕事なのだ。ソフトウェアをよりよいものにするのがハックならば、プロジェクトをよりよいものにするのが雑用である。両者は相互補完的なものなのだ。そして雑用をこなすのが、FLOSSについて学ぶ最短の道なのである。