ハイブリッドクラウド機能にフォーカスした「Ubuntu 16.10」

 英Canonicalは10月13日、Linuxディストリビューションの最新版「Ubuntu 16.10」(開発コード「Yakkety Yak」)をリリースした。デスクトップ版とサーバー版が用意されており、サーバー版ではハイブリッドクラウドでの利用にフォーカスした機能強化が加わっている。デスクトップではUnity 8のテクニカルプレビューも含まれる。

 Ubuntu 16.10は、4月にリリースされたLTS(長期サポート)版「Ubuntu 16.04」(Xenial Xerus)に続く最新版。サポート期間が9か月の通常版となる。

 ベースとするLinuxカーネルはバージョン4.8で、コンパイラにはGCC 6を採用した。ユーザーインターフェイスはUnity 7をデフォルトで搭載し、これまでスマートフォンとタブレット向けに利用されてきたUnity 8も、テクニカルプレビューとして実験的にオプション提供される。デスクトップでは、GTKとQtが新しくなり、一部のGNOME 3.22/3.20パッケージがアップグレードされた。LibreOfficeはバージョン5.2となり、Mozilla Firefoxは49となるなど、各種アプリケーションパッケージも最新版を含む。

 サーバー版は、ハイブリッドクラウド運用に必要なクラウドとコンテナにフォーカスした機能強化が図られた。LXDやOpenStack、Kubernetesなどの仮想化/コンテナツールとの組み合わせにより世界最速のプライベートクラウドインフラを構築できる、と創業者で開発を率いるMark Shuttleworth氏はコメントしている。

 OpenStackは10月にリリースされた「OpenStack Newton」をサポートする。このほか、IPAM(IPアドレス管理)とベアメタルのプロビジョニングを可能にする物理クラウド技術「MAAS 2.0」、プロビジョニングと実装ツール「Juju 2.0」なども含む。Juju 2.0では、HadoopとKubernetesなどのアプリケーションを複数のパブリッククラウドやプライベートインフラで一貫性がある形で運用できるという。

 ネットワーク性能の向上が期待できる機能も強化された。データプレーンライブラリとネットワークインターフェイス管理のData Plane Development Kit(DPDK)をはじめ、OpenVSwitch(OVS)、仮想化技術の最新版などにより、ミッションクリティカルなアプリケーショントラフィックを低遅延かつ高スループットで実現するという。

 コンテナ関連ではDocker 1.12、LXD 2.4.1、Snapd 2.16が含まれる。LXD 2.4.1ではAppArmorプロファイルスタッキングや新しいネットワーク管理機能をサポートしており、80%のLinux仮想マシン(VM)をそのままLXDコンテナに変換できるとのこと。これに加えて、KubernetesのCanonicalディストリビューションを用意し、Docker、OCID、Rktなどのコンテナをハイレベルで協調できるとしている。

 Ubuntu 16.10はCanonicalのWebサイトやミラーサイトから入手できる。

Ubuntu
https://www.ubuntu.com/