PostgreSQLを大規模向けに拡張する「Postgres-XL」プロジェクト

 米TransLatticeは5月13日(米国時間)、PostgreSQLベースの新データベースシステム開発プロジェクト「Postgres-XL」を立ち上げた。PostgreSQLにスケールアウトやクラスタといった大規模データ処理用の機能を加えたもので、オンライントランザクション処理(OLTP)やビックデータ分析用に設計したという。

 TransLatticeはPostgreSQLベースの分散リレーショナルデータベース「TransLattice Elastic Database」を開発するデータベースベンダー。TransLattice Elastic Databaseでは地理的に分散したデータ管理が可能で、クラウドおよびクラウド/オンプレミスのハイブリッド環境で利用できる。

 Postgres-XLは同社が2013年10月に買収したStormDBの技術をベースとしたもの。同社は買収後「TransLattice Storm」としてStormDBを提供しており、この技術を用い、PostgreSQLを大規模データ処理に対応するクラスタシステムとして再ビルドしオープンソース化したものがPostgres-XLとなる。

 OLTPでの書き込み時における拡張性、超並列処理(MPP)対応OLAP、クラスタ全体でのACID性、マルチテナントセキュリティなどの機能を持つ。JSONやKey-Valueストア、地理空間情報のためのPostGISにも対応する。

 開発プロジェクトはPostgres-XLについて、SQL言語を使ったビックデータ分析や高度なクエリが可能で優れた拡張性を持つとし、データベースによるコンテンツマネジメントやWebサイトのボトルネックを解消するとしている。PostgreSQLと互換のあるJDBCやODBC、OLE DBといった各種データベースドライバや、Python、Ruby、Perl、Tcl、Erlang向けのライブラリも提供され、PostgreSQL向けに書かれたアプリケーションは修正なく動くという。

 Postgres-XLは現在、バージョン9.2のリリース候補版が公開されており、プロジェクトのWebサイトより入手できる。ライセンスはMozilla Public License。

Postgres-XL
http://www.postgres-xl.org/