Microsoft、検索ユーザーのプライバシー保護を強化へ――Googleやオンライン広告業界にも保護対策の明確化を呼びかけ

 米国Microsoftは7月22日、匿名での検索エンジン利用を可能にする方法などを盛り込んだプライバシー保護強化策を発表した。「Ask.com」を擁する米国IACサーチ&メディアも同様の措置を先週明らかにしており、両社は共同でユーザーのプライバシー保護対策の明確化を検索業界とオンライン広告業界に呼びかけるとしている。

 Microsoftの発表によると、同社は年末までに匿名での検索機能をWindows Live Searchユーザーに提供する。また、検索者の個人特定に使われる可能性のある検索条件データを、入手から18カ月後にすべて廃棄するというデータ保存ポリシーを導入する。

 「われわれは業界をあげて、プライバシー保護をさらに強化する方法を検討しなければならない」と、Microsoftのチーフ・プライバシー・ストラテジスト、ピーター・カレン氏は語った。

 同社が今回明らかにした計画は、IACが19日に発表した措置とほぼ同じだ。これについてカレン氏は、「プライバシー保護対策に関する業界のコンセンサス作りの一環」と述べている。

 ユーザーがMicrosoftの検索エンジンを使うと、同社は検索条件データに加えて、そのユーザーに関する情報を保存する。他の主要な検索サービス会社と同様、Microsoftはそうしたデータと氏名/電子メール・アドレスとの関連づけを行ってはいないが、IPアドレスやその他の個人特定情報(例えば郵便番号)などは保持している。

 こうしたデータが悪用されることをプライバシー擁護者は懸念している。実際、昨年起きたAOLの事件は、そうした危険を浮き彫りにした。

 この事件とは、AOLの研究者が同社サイトから得た約65万件の検索に関するデータをうっかり公開してしまったというものだ。ニューヨーク・タイムズ紙の記者がこの情報を基に、検索者の1人を突き止めている。

 オハイオ州立大学法学部教授のピーター・スワイア氏は、MicrosoftとIACの発表がGoogleに与える影響に言及、「両社の取り組みはGoogleにプライバシー対策の改善を促す効果がある」と指摘する。

 オンライン広告業界と検索業界の統合が進むなか、企業にとって消費者のプライバシー保護はますます重要になっている。MicrosoftとGoogleがここ数カ月の間にそれぞれ発表した広告会社(アクアンティブとダブルクリック)の買収計画も、そうしたプライバシー保護の流れが背景にある。

 MicrosoftとIACは、GoogleやYahoo!、AOLなどの検索ベンダーのほか、オンライン広告企業やプライバシー擁護者の参加を募り、業界のプライバシー対策を明確化する取り組みを共同で進めようとしている。今後、関係者と具体的な進め方を詰め、今年9月までに成果を発表する計画だ。

(ロバート・マクミラン/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp