日本IBM、SOAベース開発を容易にする「WebSphere」新製品を発表――業務単位概念「ビジネス・サービス」に基づき、業務システム開発期間の短縮を図る

 日本IBMは7月19日、「WebSphere」ファミリーの新製品として、システム開発ソフトウェア・スイート「WebSphere Business Services Fabric V6.0.2」を7月20日から出荷開始すると発表した。同スイートは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づく業務システムの開発期間の短縮を図るための製品である。

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サービス・レイヤの上位に位置づけられるビジネス・サービス

 WebSphere Business Services Fabricは、2006年8月にIBMが買収した米国ウェビファイ・ソリューションズの製品をベースとしている。米国では昨年10月より提供が開始されているが、今回、バージョンアップのタイミングで日本語への対応が図られた。

 最大の特徴として同社が強調したのが、「ビジネス・サービス」という、SOAを補完する概念の採用である。ここで言う「ビジネス」とは、クレジットカード決済のチェックや口座の開設といった、ひとかたまりの業務単位を指しており、ユーザーが業務システムの構築時に、この粒度のサービス群を利用することで、開発期間の短縮を図ることができるという。

 このビジネス・サービスの概念を取り入れたWebSphere Business Services Fabricは、企業の既存ITリソースから抽出されたサービスを、ユーザーが利用するアプリケーションにより近い、「ビジネス」のレベルでビルディング・ブロック化する機能を提供する。これについて日本IBMのWebSphere事業部長、山下晶夫氏は、「既存のITリソースとアクセスするために設けるサービス・レイヤの中に、ユーザーが利用するうえでよりわかりやすい単位として、ビジネス・サービス・レイヤを設けた」と説明した。

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日本IBMのWebSphere事業部長、山下晶夫氏

 山下氏は、同スイートを構成する各ソフト/コンポーネントの役割について次のように説明した。

「WebSphere Process Server」上で稼働する「ダイナミック・アセンブラー」エンジンが、定義されたポリシーを適用しながら、既存のITリソース内のサービスを動的に参照し、ビジネス・サービスを構成していく。作成したビジネス・サービスは「Business Services Repository」に格納され、「Governance Manager」により管理される。このGovernance Managerでは、ビジネス・サービスの変更リストの発行やライフサイクルの承認/否認管理のほか、変更履歴のトラッキングなども担う。

 同スイートは、ビジネス・サービスの開発環境である「WebSphere Business Services Fabric Tools Pack V6.0.2」(207万4,000円/ユーザー)と、ビジネス・サービスの実行環境である「WebSphere Business Services Fabric Foundation Pack V6.0.2」(3,360万5,000円/1CPU)から成る。また、これらに加えて、オプションとして「Industry Content Pack」が用意されている。

 オプションのIndustry Content Packは、4つの業種(銀行、保険、医療保険、通信)に特化したビジネス・サービスのテンプレートを提供するものだ。IBMによれば、各業界における業界固有のサービスや、業界標準のワークフローなどを雛形として提供することで、SOAを利用した業務システムの開発、導入期間をさらに短縮することができるとしている。

(山上朝之/Computerworld)

日本IBM
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提供:Computerworld.jp