開発者の支持を失いつつあるWindowsプラットフォーム――開発者の割合が2006年の74%から64.8%に急落

 米国Evans Dataが7月3日に発表した調査結果によると、MicrosoftのWindowsプラットフォームは、北米ではアプリケーション開発基盤としての魅力を失いつつあるものの、引き続き圧倒的な優位を維持しているようだ。

 今春、北米の開発者およびIT管理者400名以上に対して実施した「Evans Data Spring North American Development」の調査結果から、Windows用アプリケーションを開発している開発者の数が、1年前に比べて12%も減少していることが明らかになった。

 同プラットフォームを対象にアプリケーションを開発する開発者の割合は、2006年の74%から64.8%に急落し、今年末までにはさらに2%減少し63%になると予想されている。

 EvansのCEOを務めるジョン・アンドリュース氏は、「開発者がLinuxアプリケーションを開発し始めていることが、こうした減少傾向が現れた主な原因だと分析している」と述べた。

 ただし、「Windows Vista」のリリースが、現状の悪化を辛うじて食い止めているという。「Vistaの登場によって、Windows人気の降下は多少なりとも抑えられたと思う」(アンドリュース氏)

 一方、Linuxを対象にアプリケーション開発に携わる開発者の割合は34%増加し、11.8%に達している。同社の昨年の調査では、この数字は8.8%にすぎなかった。同割合は来年にかけて、16%まで増加すると見られている。

 Evansは現在の状況を、オープンソースの成熟とともにWindowsとオープンソースのせめぎ合いが繰り広げられている段階にあると見る。それでも現在なお優位に立っているのはWindowsである。「Windowsは今もまちがいなく覇権を握っている」と、アンドリュース氏は言う。デスクトップ開発ではこれまでとおりWindowsが安定的な地位を確保している。

 Evansによれば、脱Windowsの傾向は2年ほど前から見られるようになり、このところそれが加速しているという。Linuxには、クライアント・デバイスでの採用というこれまでにない追い風もある。

 なおEvansは、UNIXやMac OSなどのプラットフォームでの開発を検討している開発者にもアンケート調査を行っているが、その結果は公表していない。

 Microsoftの関係者は7月2日、担当者の不在を理由に、Evansの調査結果に関するコメントを拒否した。

 今回の結果は、オープンソース・ソフトウェアが商用ソフトウェア市場に絶対的な影響力を及ぼしていることを示すものではないが、どちらの陣営にも十分なチャンスが開けていると、アンドリュース氏は指摘する。

 Evansは今回の調査で、最も広く利用されているスクリプティング言語がJavaScriptであることも明らかにした。JavaScriptの利用者数は、PHP(Hypertext Preprocessor)、Ruby、Pythonのユーザーの3倍以上に上っている。ただ、Rubyの使用率は今年中に50%伸びると見られている。

 さらに、仮想化技術に対する人気が高まっていることもわかった。調査対象となった開発者の3分の1が、仮想化に対応したアプリケーションを開発していると答えており、42.5%が来年末までに同技術を採用する予定だと回答した。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

米国Evans Data
http://www.evansdata.com/

提供:Computerworld.jp