Microsoft、SamsungによるLinux技術の使用に合意する
今回のようなクロスライセンシングに関する合意事項が結ばれるのはハイテク業界では珍しい話ではなく、これはつまり、双方の企業が相手の有するパテントを侵害しても残り一方が訴訟に持ち込まないという合意である。そしてここ数年Microsoftはこうした合意事項において、特にLinux対策を声高に叫び出し始めている。その第一弾がNovellとMicrosoftとの間で交わされた協力体制およびクロスライセンシングに関する電撃発表(翻訳記事)であったが、この合意については、具体的な根拠のないままLinuxのベンダおよびユーザをMicrosoftが特許侵害で訴える可能性を示唆している点で、業務提携的な側面と同程度の比率でプロパガンダ的な色合いが強く感じられたものである。
Microsoftはオープンソースおよびプロプライエタリ系製品に関するパテント保護について同様の路線を押し進めており、Novellの次がFuji-Xeroxとの提携、その次の3件目に当たる合意が今回のSamsungとの契約という流れである。
Computerworldの掲載記事は、そのヘッドラインが「Provision raises specter of controversial claim by Steve Ballmer」(MS社CEOによる発言が巻き起こした論争が再燃か)とされていたように、今回の合意は競合製品を妨害しようとするFUD行為ないしプロパガンダ活動であるという論調であった。
また現在知られている限り、DellとMicrosoftとの間でこの種のクロスライセンシングに関する合意が提携されたという話は聞かされていないが、ひょっとすると同社の創設者にして会長兼CEOであるMichael S. Dell氏が、同氏自身の安寧を図るため、最終的に同様の契約書にサインする可能性も考慮しておくべきかもしれない。それというのもDellの公式WebサイトにあるMichael Dell氏に関する役員紹介のページを見ると、同氏の使用しているコンピュータ環境はDell製Precision M90ラップトップにUbuntu 7.04 Feisty Fawnをインストールし、VMware、OpenOffice.org、Automatix2、Firefox、Evolutionを搭載しているとされているからなのだが、同氏が今後もこうした環境を運用し続けるとなると特許侵害訴訟に関する免責を(あくまで非公式に)伺わせる約束手形が欲しくなるかもしれない、というのは少し考えすぎだろうか?