バーチャルアイアン、サーバ仮想化ソフトの新版をリリース――iSCSIのサポートにより、IPネットワーク・ストレージとの接続が可能に

 米国バーチャルアイアン・ソフトウェアは3月5日、サーバ仮想化ソフトの新版「Virtual Iron 3.5」をリリースした。新版では、iSCSIのサポートに加え、1台の物理サーバ・マシン上で仮想環境の導入と管理を行えるようにしている。

 Virtual Iron 3.5は、オープンソースのハイパーバイザ「Xen」をベースにしたサーバ仮想化ソフト。新たに追加されたiSCSIストレージのサポート機能により、リソース配置の動的な実行といった仮想化技術を活用できるようになったほか、FC(ファイバ・チャネル)に多額の投資を行う必要もなくなった。

 バーチャルアイアンのCMO(最高マーケティング責任者)、マイク・グランディネッティ氏によると、フェールオーバやリソース配置などの機能を仮想環境で使えるようにする唯一の方法は、仮想サーバを共有ネットワーク・ストレージに接続することだという。

 「われわれは、iSCSIをサポートすることで、サーバ・コンソリデーションだけでなく、高可用性やリソース・スケジューリング、ディザスタ・リカバリなどの分野でも仮想化技術を利用できるようにしたいと考えている」と同氏。また、「FCは、ポート当たりのコストがiSCSIのおよそ10倍であり、専門的な知識も必要とされる。一方、IPベースのストレージ接続に関する技能は、どんな企業のIT部門にもある」と、FCと比較したときのiSCSIのメリットを強調した。

 なお、仮想化ソフト最大手のヴイエムウェアも、昨年6月にリリースした「VMware Infrastructure 3」でiSCSIをサポートしている。

 Virtual Iron 3.5におけるもう1つの大きな改良点は、仮想マシンが稼働している物理サーバ上で「Virtual Iron Virtualization Manager」を動かせるようにしたことだ。Virtualization Managerは仮想マシンの管理や移動を行うソフトウェアで、これまでは別のサーバで稼働させる必要があった。

 さらに、バージョン3.5ではLDAPのサポートも追加されている。これにより、Microsoft Active DirectoryやOpenLDAPに保存されているアクセス権を仮想サーバに移転させることが可能になっている。

 バーチャルアイアンでは、仮想環境の構築/管理プロセスを簡素化するとともに、製品の価格をライバルよりも低く設定することで、多くの企業がサーバ仮想化の恩恵を得られると考えている。グランディネッティ氏によると、同社は、ヴイエムウェアのおよそ4分の1のコストで同様の仮想化機能を提供しているという。これは、XenをベースにVirtual Ironを開発していることが理由でもある。

 Virtual Iron 3.5のサポート付き製品価格は、無期限ライセンスで1ソケット当たり約500ドル(無料の試用バージョンも 同社サイト から入手可能)。これに対し、ヴイエムウェアのVMware Infrastructure 3では、小規模企業向けの「Starter」でも約1,000ドル、エンタープライズ向けの「Standard」は3,000ドル以上に設定されている。

(ジェニファー・ミアーズ/Network World米国版)

米国バーチャルアイアン・ソフトウェア
http://www.virtualiron.com/index.cfm

提供:Computerworld.jp