IBM、デスクトップLinuxの導入を促進する「Open Client」サービスを発表
Open Clientには、デスクトップ管理機能やアプリケーション移行サポート、ベスト・プラクティスに関するアドバイスなどが含まれる。OSサービスは、レッドハットとともに、Linuxディストリビューション分野でIBMと競合するノベルも提供することになるという。
IBM でオープンソースおよびLinuxミドルウェア担当副社長を務めるジェフ・スミス氏は、IBMは同サービスを開始するにあたり、Red Hatの「Enterprise Linux Workstation」ソフトウェアをはじめとするデスクトップOSを社内導入した際の経験を活用したと述べている。
新サービスの特徴について、スミス氏は、「利用資格のあるユーザーに適切な技術を利用させるためのサービス」だと説明する。こうしたユーザーの役割ベースによるクライアント管理は、グループウェア分野におけるIBMの最大のライバルであるMicrosoftなど、多くのソフトウェア・ベンダーがしきりと喧伝しているコンセプトだ。
IBMは、Open Clientサービスやその他の取り組みをとおして、遅まきながらもLotusコラボレーション・ソフトウェアのマルチプラットフォーム機能をアピールし、Microsoftの「Exchange」製品との差別化を図ろうとしている。MicrosoftはいまだにLinuxをサポートしていないからだ。
IBM は、「Notes」クライアントおよび「Sametime」インスタント・メッセージング・ソフトウェアについて、オープンソースOSであるLinuxに対応したバージョンを出すのが遅れていた。Notesクライアントは2006年7月に、Sametimeは同8月に、ようやくLinuxをサポートした。 Linuxユーザーは、それ以前はWebクライアントを利用するか、ソフトウェアをエミュレートしなければならなかった。
スミス氏によると、NotesおよびSametimeを含め、ソフトウェアの基本機能を新しい環境へ移行したことで、Linuxのサポートは格段に容易になったという。新版は、オープンソース団体のEclipseファウンデーションが開発したミドルウェア・レイヤ上で動作する。なおIBMは、このレイヤを「Eclipse Rich Client Platform」と呼んでいる。
Open Clientは、Notes、Sametime、ポータル・アプリケーションを開発する「WebSphere Portal 6.0」、Webブラウザおよび「Lotus Expeditor」からアクセス可能なサービスとなる。Lotus Expeditorは、コンポジット・アプリケーション用のEclipseベース・クライアント開発プラットフォームである。
IBM は今年後半にも、Open Clientサービスの対象にアップルのMacintoshを加える方針だ。また、年末までに出荷する予定の「Lotus Notes 8」「Lotus Connections」「Lotus Quickr」も、Open Clientに追加する考えでだという。
IBMの社内では、Lotusコラボレーション・ソフトウェアのソフトウェア・スタックを作り、社員がWindowsおよびLinux上で稼働している複数のLotusアプリケーションを、同社のエンタープライズ・インフラストラクチャに統合できるようにしている。
総勢32万9,373名に及ぶIBM社員の約5%に当たる1万6,468人が、LotusソフトウェアをLinux上で使用しており、昨年はそのうち5,000人以上が新版Lotusのベータ・テストに参加した。
同社では、ソフトウェアおよびハードウェア開発者、チップ設計者、Linuxサポートおよびマーケティング担当者、研究者などが、Linux上で Lotusを利用している。ただし、ビジネス・コンサルティングに携わる社員は、携帯デバイスをメインのコンピュータとして使っており、Linux対応の恩恵は得られない。
スミス氏は、「携帯デバイスにも、ほぼすべてのワークロードをサポートする機能が搭載されている。ただし、そうした機能を連携させるには、それなりの手間がかかる」と説明する。携帯デバイスにインストールされたLinux上でアプリケーションを動かすための作業は、デスクトップやサーバよりずっと困難だ。
なお、IBMは、2月13日〜14日にニューヨークで開催される「LinuxWorld OpenSolutions Summit」で、Open Clientに関する詳細情報を明らかにする予定だ。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
米IBM Lotusソフトウェア
http://www.ibm.com/software/lotus/
提供:Computerworld.jp