SPIが遂にopensource.orgとopensource.netドメインをOSIに譲渡

Software in the Public Interest(SPI)の理事会が、opensource.orgとopensource.netの両ドメイン名のOpen Source Initiative(OSI)への譲渡を承認するための投票を行った。OSIはこの動きを自分たちに好意的な態度の表れとして歓迎しているが、SPIの支持者からはすでに反対の声が上がっている。

ドメイン譲渡の決議案は、7月にOSIが出した要請に応えて11月に起草されていた。しかしこの問題の発端は、Bruce Perens氏がOSIの設立に加わるためにSPIを去り、OSIドメインへの権利譲渡を果たせなかった1998年にまでさかのぼる。それ以来ずっと、この問題を巡って論争が続いてきた。OSIはドメインの譲渡を何度も要請したが、多くのSPI支持者はOSIの運営が非営利組織にふさわしいものでないことを理由に反対し、この論争は当初から両者の間にあった敵対心をぶつけ合う場になっているようにも見えた。ドメイン譲渡への反対は、SPIが支援する最大かつ最古のプロジェクト、Debianの開発者たちの間でことのほか強いようだ。

この問題が大詰めを迎えたのは、11月に開かれたSPIの会議で、理事長のBdale Garbee氏が次のように述べたときだ。「我々にはこれらのドメインをできるだけ速やかにOSIに引き渡す責任がある。この決議投票を引き延ばすつもりはない。これを最後に解決すべき問題だと考えている」

理事会の決議案を強く支持するDavid Graham氏(NewsForge.comのスタッフの1人でもある)は、この会議が招集される前にGarbee氏のコメントをirc.oftc.netの#spiチャンネルに流した人物だ。「この混乱状態は馬鹿げている」とGraham氏は言う。OSIの運営方針に対する疑問に言及して、彼はこう付け加えた。「我々がOSIのドメインをOSIに渡すつもりなら、きちんと承認して渡すかまったく渡さないかのどちらかにすべきだ。言ってみれば、あなた方のドメインは我々のもとにあるが、あなた方のやり方には賛同できないので、それを変えてもらわないとそのうちにドメインを取り上げることになるかもしれない、というような滑稽な状態がもう何年も続いている」

12月の会議にGarbee氏は出なかった。しかし、代理でMichael Schultheiss氏が議長を務め、実際の会議中には一切の議論が認められないまま、SPI理事会はGarbee氏の議案をすぐに可決したのだった。投票結果は、David Graham氏、Neil McGovern氏、Jimmy Kaplowitz氏、Michael Schultheiss氏が賛成、Ian Jackson氏が反対、Josh Berkus氏が棄権というものだった。

今回の会議に招集前からアクセスしていた人々にとって、Berkus氏の棄権は少しも意外ではなかった。投票前、Berkus氏は「opensource.netを手元に残す、あるいは引き渡すのどちらにしても、私には十分な理由が見当たらない」と述べたうえで、OSIに対して好意的な態度を取ることの意味は理解しているが「そうした態度に効果があるとは思わない」ので棄権を考えている、と語っていたのだ。

ただし、少数ながらも自己主張の強いゲストたちは投票前も投票後もこの決議案を強烈に批判していた。Debian開発者のM. J. Ray氏は次のように述べていた。「これはチューブ入り歯磨き粉の問題と同じだ。一度外に出してしまうと、元に戻すのは難しい。SPIにとって、この問題と決別する唯一の方法は、どこか他のところにドメインを譲り渡すことだ。はっきり言わせてもらうが、その相手はOSIであってはならない」

投票の後、Ray氏は理事会の決定について「SPIの財産を得体の知れない団体に渡してしまった」と語った。同じくDebian開発者のEan Schuessler氏も、言葉を濁しながら不穏な発言をしている。「こうなってしまった以上は、どこかの政府による‘何がオープンソースで何がそうでないか’を規定する活動にOSIが関与しないことを祈るばかりだ」

一方、OSIの幹部で財務担当のDanese Cooper氏は、このニュースを聞いて次のように話した。「SPIの人々がこの決断をしてくれたことを私たちはとても喜んでいます」

「きっと彼らは、私たちの組織がどんなふうに発展していくのかを確かめるために時期を待っていたのでしょう」とのCooper氏の発言は、どうやらOSIの組織運営に関する反対意見を意識したもののようだ。またCooper氏は、OSIの要請から決議投票に持ち込まれるまでにかかった時間について不快感を示すこともなかった。「OSIは私たち自身の総意に基づいて活動しているので、決定を下すまでに時間がかかることがあります。ですから、SPI側が時間をかけた理由もわかります」

しかし、こうした動きがOSIとの関係改善につながるかどうかについては疑問が残る。投票後に聞かれた各意見からわかるように、今回の決議案の可決によって、少なくとも一部のSPI支持者が持つわだかまりが消えることは、ほとんどなさそうである。

Bruce Byfield氏はセミナーのデザイナ兼インストラクタで、NewsForge、Linux.com、IT Manager’s Journalに定期的に寄稿しているコンピュータジャーナリストでもある。

NewsForge.com 原文