EMC、各ストレージ製品ラインで新モデルを発表──パフォーマンスや電力消費効率が向上
ハイエンド向けSymmetrix DMX-3シリーズでは、新モデル「950」が加えられた。同モデルには、容量が300GBと500GBのタイプがあり、従来モデルより物理的なサイズが小さいことから、データセンターに設置する際のスペースを節約できるとしている。また、先行機種や日立データシステムズおよびIBMなどの競合製品と比べて、電力の消費効率も高いという。
ミッドレンジ向けCLARiiONシリーズも「CX3 UltraScale」としてアップグレードされ、ファイバチャネルおよびiSCSI(Internet Small Computer System Interface)環境での動作が可能になった。EMCのストレージ・プラットフォーム製品マーケティング担当バイスプレジデントであるバーバラ・ロビドウ氏は、「iSCSIモデルを購入したユーザーは、ファイバチャネル・モデルも購入していることがわかっている。今回の新モデル投入により、1つのアレイに双方を統合できるようになった」と述べている。
また、CX3 UltraScaleでは、ネットワーク上にあるストレージ機器の設定手順も簡素化された。EMCによれば、一部のタスクを完了させるのに必要な工程数を70%削減できたという。この設定手順では、1画面ごとに設定を行うウィザード形式が取り入れられている。
今回の発表に関し、市場調査会社エンタープライズ・ストラテジー・グループのアナリスト、ブライアン・ガレット氏は、「EMCは競合社に後れを取らないよう配慮し、より大きな容量、より高いパフォーマンス、よりすぐれた電力消費効率を求める顧客の声にこたえていかなければならない」と指摘する。
「数年前まで、新しくストレージを購入する企業ユーザーの関心事といえば、もっぱら価格とパフォーマンスに限られていたが、最近ではここに、電力消費効率という項目が加わった。多くの企業が、電力問題に頭を悩ませている」(ガレット氏)
今回の発表の中には、既存モデルに「累積的な」改良を施した点ばかりが強調された製品もあったが、ガレット氏は、CLARiiON CX3 UltraScaleモデルと連携する新たな「Disk Library」に注目しているという。新しいDisk Libraryでは、最大340TBに及ぶデータをディスクにバックアップできる。ここ2年間で実際に使用された同シリーズのストレージの容量は、合計で延べ70ペタバイト(1ペタバイトは1万GB)に達したそうだ。
企業が取り扱うデータ量は大幅に増えているので、夜間に行う従来のテープ・バックアップでは、翌朝社員が出社してもまだ作業が終わっていないという事態も起こりえると、ガレット氏は述べている。ディスクへのバックアップは割高になるが、作業スピードははるかに速い。ガレット氏は、EMCをはじめとするストレージ・ベンダーが次々に新製品を投入し、競争力を維持するためにしのぎを削り合う状態が当面は続くだろうと予測した。
なお、市場調査会社IDCの2006年度第2四半期調査によれば、ディスク・ストレージ分野でトップを走るEMCのマーケット・シェアは20%である。僅差で第2位になったヒューレット・パッカードは、19.3%のシェアを獲得しており、以下、IBM13.2%、日立8%、Dell7.8%、Sun Microsystems7.1%と続いている。
(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)
提供:Computerworld.jp