Oracle、「PeopleSoft 9」の新モジュールを発表──今後の整備計画も明らかに
8月28日に発表された新モジュール「PeopleSoft Enterprise Performance Management」は、経営データと各部門のデータやリソースを照合するのに役立つ統合分析アプリケーションで、予算作成や予測を含む企業計画をはじめ、財務管理やリポーティングを中心にコンプライアンス管理の機能強化がなされている。
Oracleはこれまで、PeopleSoft業績管理ソフトウェアと他のPeopleSoft製品との統合に取り組んできた。今回の新製品も、「PeopleSoft Workforce Rewards」との統合が図られており、ユーザー企業は、さまざまな報酬モデルの運用に予想される影響をより簡単に評価できるようになる。
Oracleのアプリケーション開発担当上級副社長、ジョン・ウーキー氏は、最近のインタビューの中で、同社が既存のアプリケーションを拡張しながら、2008年発表予定の新アプリケーション・スイート「Fusion」にも並行して取り組む計画であり、PeopleSoft業績管理ソフトウェアはその何よりの証拠だと強調している。
Oracleは、PeopleSoft Enterprise 9の整備に取り組んでおり、今月初めにはCRM製品をリリースしている。ウーキー氏によると、9月に財務管理、年末までに人材管理製品をリリースする予定という。
PeopleSoft以外のアプリケーションに関しては、今年末までに「Siebel 8.0」と自社開発の「Oracle E-Business Suite 12」をリリースする計画だ。Oracleは今年1月、CRMプレーヤーのシーベルを58億ドルで買収している。
また、「J.D. Edwards World A9.1」は来年の早い時期に登場する見通しだ。これは、1998年以来のメジャー・アップデートとなる。なお、Oracleは、PeopleSoftの買収によりJ.D. Edwards製品を取得した。
Oracleは、異種アプリケーションの統合計画「Project Genesis」にも積極的に取り組んでいる。自社開発したアプリケーションと買収したアプリケーションを連携させたり、既存の統合基盤を強化したりするのは、Oracleの顧客企業が新世代アプリケーションのFusionを採用しやすくするために考えられたものだ。
Project Genesisの最初の成果は、買収した製品と自社のCRMアプリケーションとの統合であり、9月に発表されることになっている。Oracleは、顧客とコールセンター・スタッフのやり取りにかかわる全工程を効率化するのに必要なソフトウェアを提供できるように、6月にコンタクト・センター技術ベンダーを買収している。
ウーキー氏によると、Oracleは今年末までに自社のホステッドCRMアプリケーション「Siebel OnDemand」と「E-Business Suite」の統合を図るほか、2007年には、「J.D. Edwards EnterpriseOne」との統合も実現する計画という。
OracleのSaaS(Software as a Service)事業は成長過程にあるが、同社はまだ、その製品を積極的にマーケティングしていない。Oracleの社長、チャールズ・フィリップス氏は先月、「自分の会社ではすでに、ホステッド・オペレーションを本格化させるために、電話セールス・スタッフの増員に取り組んでいる」と言及した。
ウーキー氏は、Genesis計画でSiebel OnDemandと現場用アプリケーションとの統合が緊密に行われば、SaaSビジネスの成長を加速させるのにも役に立つはずだと強調している。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
提供:Computerworld.jp