北欧諸国の消費者保護当局者、iTunes規制に向け協議へ

 ノルウェー、デンマーク、スウェーデンの公的消費者オンブズマンは今週、iTunesのデジタル著作権管理(DRM)方針を巡るApple Computerとの戦いをどう進めるべきかについて協議するもようだ。

 消費者団体であるノルウェー消費者審議会(Forbrukerradet)のシニア・アドバイザー、トルイェイル・ウォーターハウス氏によると、この問題は、レイキャベクで開催されているスカンジナビア諸国の消費者オンブスマン定例会議の議題の1つになっているという。

 同団体は今年1月下旬、ノルウェーの公的消費者オンブスマン(Forbrukerombudet)に、iTunes Music Store(iTMS)に関する苦情を申し立て、iTMSで購入した楽曲をユーザーが任意のプレイヤーで再生することができないなど、AppleのDRMを含むiTMSのいくつかの点がノルウェーの法律に違反していると訴えた。

 ノルウェー消費者オンブスマンは6月上旬、iTMSの購入条件の一部はノルウェーの法律に違反しており、Appleが6月21日までにそれらを変更しなければ罰金を科すと通告した。ただし、DRM方針の変更については、ビジネス・モデルの大幅変更につながることを考慮して最終判断を保留している。

 これを受け、ノルウェー消費者オンブズマンはデンマークおよびスウェーデンの公的な消費者保護機関とともに、AppleにそのDRM方針について説明を求めた。ウォーターハウス氏によると、Appleは回答書の中で、従来のDRM方針を堅持することをあらためて表明したという。

 今週開催されている会議で、これら3カ国の公的消費者オンブズマンは、Appleを相手取った法的措置の準備を協力して行うかどうかについて協議する予定だ。各機関はそれぞれ自国で法的措置を講じることになるが、3カ国の法律は共通点が多いという。

 「これはオンブズマンにとって重要かつ新しいタイプの事例であるため、彼らは最良の対処法を考え出そうと努めている」(ウォーターハウス氏)

 スウェーデン消費者保護庁の広報担当者、ハンス・ランディン氏は、6月の時点で、AppleのDRM問題についてノルウェーおよびデンマークとスウェーデンの消費者保護当局は共通のアプローチを取る計画だと述べていた。

 これに対し、Appleの代理人は、9月末にノルウェー消費者オンブスマンとの会合で同社の見解を示す予定だ。同社は回答書の中で、直接対面して説明する機会を持つことを求めていた。

 この会合で問題が解決されなかった場合、ノルウェー消費者オンブスマンはAppleを消費者裁判所(第1審裁判所)に提訴する可能が高い。同裁判所は、Appleに対して法的強制力のある判決を下す権限を持っている。

 フランスや英国でも、iTunesとAppleのデジタル音楽プレイヤー「iPod」との(排他的)結合に反対する動きがある。フランスで最近可決された新著作権法律では、当初の法案どおりであれば、Appleは自社のDRM技術を他の音楽プレイヤー・メーカーに公開する義務を負わなければならなかったはずだった。しかし、最終的には各社が同技術を非公開のまま維持できるようになった。

 なお、英国では最近、レコード業界団体がiTunesの排他性を公式に批判している。

(ナンシー・ゴーリング/IDG News Service ダブリン支局)

ノルウェー消費者審議会
http://www.forbrukerradet.no/

ノルウェー消費者オンブスマン

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