「OpenView」ユーザーはHPのマーキュリー買収を歓迎?

 米ヒューレット・パッカード(HP)は先週、45億ドルでマーキュリー・インタラクティブを買収すると発表したが、HPの統合管理ソフトウェア「OpenView」ユーザーの多くは、システム管理とアプリケーション管理ツールの幅広い組み合わせをもたらす賢明な措置だとして歓迎している。

 今回の買収について、複数のHPユーザーが、OpenViewポートフォリオにさまざまな有効なアプリケーション管理およびパフォーマンス管理ツールが加わると期待している。また、HPユーザーと業界アナリストの一部は、HPが管理ツール市場でIBM、BMCソフトウェア、CAに対抗する力が強まると予想する。

 フォアモースト・ファームズUSA(ウィスコンシン州)の情報システム運用サービス・マネジャー、カレン・シーモンソン氏は、マーキュリーのツールによって、システムのパフォーマンスと可用性を確保し、ITIL(IT Infrastructure Library)仕様に基づいて内部プロセスを管理するOpenViewの基盤が補完あるいは強化されると述べている。

 実際に同氏は、フォアモースト・ファームズのITサービス管理ロードマップを拡張するためにマーキュリーの「IT Governance Center」と「IT Availability Center」を使用したいと考えている。

 会員数6,000人以上の独立組織である「OpenView Forum International(OVFI)」のウィスコンシン地区ユーザー・グループの共同リーダーを務めるシーモンソン氏は、HPの「OpenView Service Desk」と「OpenView Operations」が現在提供していない機能をマーキュリーのツールが補完してくれると歓迎する。

 OVFIの会計責任者であるジョー・ガーシュ氏によると、HPのユーザーの間ではこの数カ月間、マーキュリー買収の可能性や展望が話題になっていたという。

 セキュア64ソフトウェア(コロラド州)のエンジニアリング担当副社長であるガーシュ氏は、「少なくないOpenViewユーザーが、マーキュリーが非常に優れた製品スイートを持っていると評価しており、実際に、マーキュリーのツールがOpenViewの一部になることを熱望するユーザーもいた」と証言する。

 ガーシュ氏はさらに、「OpenViewとマーキュリーのツールは機能な重複がほとんどなく、相互に補完し合う」と付け加えている。

相乗効果は本当にあるのか

 HPのCEO、マーク・ハード氏は電話会議の中で、マーキュリーの買収は、同社のソフトウェア売上高を年間20億ドル以上に倍増させ、HPをエンド・ツー・エンドのIT管理リーダーに押し上げる効果があると強調する。

 とは言え、OVFIサンフランシスコ・ベイエリア支部の元リーダーで、OpenViewシステム統合作業を手掛けるペッパーウィード・コンサルティングの研究開発ディレクターのリック・ラングスフォード氏は、「ハード氏がHPのCEOを引き継いだ際には、一部のユーザーから、OpenView事業が重視されなくなるのではないかと懸念する声も上がった」と打ち明ける。

 しかし、ラングスフォード氏は、「ソフトウェアが重視されることが明らかになり、実際、HPは買収にも積極的に取り組んだ」と語っている。

 一方、アメリカン・テクノロジー・リサーチのアナリストを務めるホー・ウー氏は、マーキュリー製品とOpenViewの相乗効果は、HPが主張するほど「明確ではない」と指摘する。

 「マーキュリーの売上高の60%以上はソフトウェア開発と試験ツールによるもので、アプリケーション管理は30%、ITガバナンスとリソース管理は10%でしかない」(ウー氏)

 また、ヤンキー・グループのアナリスト、ゼウス・ケラバラ氏は、「マーキュリーは昨年、ストック・オプションがらみのスキャンダルで3人の最高幹部が退職し、株価が急落、HPにつけこむすきを与えた」と分析する。

 だたし、ケラバラ氏は、HPとマーキュリ製品の組み合わせについては「相性がよい」と評価している。「HPは、システム管理とネットワーク管理には強いが、アプリケーション指向の製品は強いとは言えなかった」(同氏)

(マット・ハンブレン/Computerworld 米国版)

米ヒューレット・パッカード(HP)
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提供:Computerworld.jp