欧州諸国政府、インターネット利用促進に向けて合意

欧州34カ国の政府閣僚は6月12日、急速な技術進歩に取り残されるおそれがある人々もインターネットの恩恵を受けられるよう推進していくという内容を盛り込んだ宣言書に署名した。

 政府閣僚たちは、ラトビア共和国のリガで開かれた会議で、「人々が経済的、社会的、教育的、地域的な不利益、身体障害に関連した不利益を克服できるよう、情報通信技術の提供によって支援していく」という汎欧州的な取り組みを推進していくことで合意した。この取り組みでは、主に高齢者や身体障害者、失業者などのグループに焦点を合わせていくとしている。

 この34カ国は、欧州連合(EU)加盟25カ国のほか、ルーマニア、ブルガリア、クロアチア、トルコ、スイス、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェー、ボスニア・ヘルツェゴビナからなる。

 EUの行政執行機関である欧州委員会によると、今回の宣言書には、2010年までにインターネットにアクセスできない人の数を半減させること、農村部のブロードバンド・カバー率(インフラ整備)を90%に高めること、公的Webサイトすべてに高いアクセシビリティを備えさせる(視覚などの身体障害を持つ人や高齢者を含むあらゆる人が、サイトからきちんと情報を取得し、問い合わせなどを行えるようにする)こと、といった目標が掲げられているという。

 これらの目標は、雇用と経済成長の促進と技術革新の推進を目指したEUのリスボン戦略(2000年3月の欧州理事会で採択された2010年までの包括的な経済・社会政策)の中間見直しとして2005年に欧州委員会が策定した「i2010」戦略に含まれていたものである。

 また、欧州政府閣僚たちは、インターネットをよりアクセスしやすいものにするために、新しい法整備を行っていく必要があることでも合意した。

 欧州委員会によると、利用料金の手ごろさ、アクセス手段、スキル、モチベーションなどの欠如から、欧州市民の30〜40%がインターネットを活用できないでいるという。また、2005年のブロードバンド回線契約数は前年比60%増と急激に成長し、米国を初めて追い越したが、高速インターネット・アクセスを利用できるのは4つの家庭に1つだけだという。

 さらに、現在、65歳以上の高齢者は10%しかインターネットを利用していないほか、アクセシビリティの最低基準をすべて満たしている公的Webサイトは3%にすぎず、政府部局や省庁のWebサイトの設計不備によって、欧州の身体障害者の15%がインターネットを利用できないという問題に直面しているという。

(ポール・メラー/IDG News Service ブリュッセル支局)

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