Cisco、企業IT統合基盤の確立に向けミドルウェア・ベンダー2社を買収

米Cisco Systemsは6月9日、MetreosとAudiumという株式非公開企業2社を買収すると発表した。両社はともに小規模なミドルウェア・ベンダーだが、これにより、企業ITの開発者を取り巻く環境が大きく変化する可能性がある。

 両社のミドルウェアは、開発者が自らのアプリケーションをCiscoの「Unified Communications System」に統合する作業を容易にする。例えば、SAPの製品にMetreosのソフトウェアが利用されているように、両社のミドルウェア製品は、すでにさまざまなアプリケーションとの連携に利用されている。

 Ciscoのコンタクト・センター事業部門副社長兼ゼネラル・マネジャー、ローレン・フィロネンコ氏は、今回の買収により、Unified Communicationsとアプリケーションの統合を迅速に行えるようになると強調する。

 しかし、今回の買収にはこれ以上のメリットが考えられる。Ciscoは両社から取得した技術を組み合わせて、Unified Communicationsのアプリケーション開発インタフェースを統一しようと考えているからだ。

 IDCのアナリスト、アブナー・ジャーマナウ氏によると、共通のインタフェースを利用できるようになれば、企業内で開発した膨大な数のアプリケーションを手間をかけずに統合することが可能になり、これまで統合の対象が大手のソフトウェアに限られていた状況が大きく改善するという。

 ジャーマナウ氏は、こうした共通開発インタフェースは、自前のアプリケーションについて熟知している開発者が、コミュニケーション・ソフトウェアに関する特別な知識を持っていなくても統合作業を進められるようにすることを目的としたものだと話した。企業は共通インタフェースを活用して、新たな統合作業にかける時間と予算を調整できるようになるという。

 「企業の間には、アプリケーション統合の是非を判断するための検証を、できるだけ低いコストで行いたいというニーズがある」(ジャーマナウ氏)

 音声をデータ・パケットに変換し、PCアプリケーションのトラフィックと同じネットワークでやり取りする技術の主目的は、そうしたアプリケーションに音声通話機能を追加することである。

 具体的には、販売担当者がCRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアを参照してセールスに関する情報を確かめながら、顧客に電話をするといったことが可能になる。また、ビデオ会議やテキスト・メッセージング、コラボレーションといったコミュニケーション統合の実現も視野に入れている。

 Ciscoは今回の買収について、両社の規模は小さいものの、新たな開発環境を構築していく一歩になると強調する。両社の社員数は、Audiumが26名、Metreosが19名にすぎない。

 「両社の技術は、エンタープライズ・アプリケーションの世界に統合的なコミュニケーション能力をもたらすものだ」と、フィロネンコ氏は述べた。なお、オラクルやリーマン・ブラザーズを含む大企業顧客の事例では、MetreosとCiscoはすでに協力態勢を敷いている。

 Ciscoによる2社の買収契約は、7月末までに完了する見込みだ。IDCのジャーマナウ氏は、今回の買収によってIPセラレイトなどの多数の関連企業が影響を受けることになると見る。例えば、Ciscoと競合するAvayaやNortelといった企業が同様の買収を試みたり、強力な提携関係を模索したりする可能性があると予測している。

(スティーブン・ローソン/IDG News Service サンフランシスコ支局)

提供:Computerworld.jp