Bruce Perensの「オープンソース一般教書演説」

Chicken Man(訳注:60年代にChicagoのラジオ局で放送された人気コメディー番組)のキャッチフレーズ「神出鬼没! 神出鬼没!」を地で行くかのように、Bruce Perensは、Linuxが(特にデスクトップLinuxが)語られる場所ならどこにでも姿を現す。New YorkのLinuxWorldでは、小さな部屋を埋め尽くした25人ほどのプレス関係者を前に、30分以上にわたってLinuxの世界で起こりつつあることについて語った。

自分の名前が電光掲示板のように流れるLEDのバッジをTux模様の青いネクタイに着けて現れたPerensは、最初に米Prentice Hallから刊行された自著を宣伝してから、みんなのお気に入りのサンドバッグである米SCO Groupに関する分析に移った。これまでに提示された証拠について語った後で、彼はこう言った。「まさに詐欺行為、ソフトウェアの権利侵害が目前で行われているのです」。しかし、立証の可能な犯罪をSCOが犯した、とは彼は考えていない。というのも、SCOは本当の目的が露呈しないように慎重に振る舞っているからだ。「(SCOの本当の目的は)株価の吊り上げです」と、彼は言った。米IBMが法廷に証拠を提出し、Novellに対するSCOの行動を「不法妨害訴訟」と呼んだ今、この訴訟が継続することをPerensは疑問視した。

話題は転じ、Desktop Linux ConsortiumのディレクターであるPerensは、2004年はデスクトップLinuxが本格的に普及すると予測した。「世界で必要とされるソフトウェアの80%は私たちの手にあります ―― ブラウザとオフィスアプリケーションを含めて。今年は、統合とバグフィルタリングが改善されるでしょう」と言ったが、一方でACPIに弱点があることから、ラップトップ向けのLinuxカーネルが安定するには最低1年かかる、との見通しも明らかにした。

資本化された大企業からLinuxを切り離し、コストを増やさずに企業が席を追加できるようにすることを目的としたUserLinuxについて、Perensは持論を展開した。ディストリビューションは、Debianをベースとすることが予定されている。彼によると、Debianには、Red HatとSuSEを上回る10,000近くのパッケージと1,000人の開発者が存在する。ソフトウェアに加えて、UserLinuxの魅力を幅広いユーザにアピールするため、「私たちは世界規模のサポート組織を編成します」と言明した。彼は、ウィンドウマネージャが2つあるとユーザが戸惑い、サポート部門にも負担がかかるという理由で、UserLinuxのウィンドウマネージャをGNOMEだけにする、という従来からの見解を繰り返した。KDEを使うことも選択できるが、ディストリビューションには正式には含まれない。

Perensは、オープンソースの前進にとって最大の難題はソフトウェア特許だと感じている。米国では50〜95%のソフトウェア特許が、発明ではなく、そこらじゅうで書かれているものであるという理由で許可されない、と彼は語った。SCO訴訟が終わった後で、たくさんの特許訴訟がLinuxに対して起こされる、というのが彼の予測だ。ある米国の知的財産権組織の概算によると、特許訴訟を闘うには原告、被告の区別なく250万ドルの費用がかかるので、そういった法的措置は現実的ではないと思われる。

講演の最後に、彼は自分の名前「perens」はラテン語で「旅行」を意味すると言った。伝道にいそしむ賢者の名前として、実にぴったりではないか。