Linuxライセンスを売り始めたSCO

どうやら、SCOの撒き餌につられた哀れな魚が出たらしい。money.cnn.comなどのサイトに一斉に掲載されたプレスリリースを読んでわかるのはそれだけだ。

犠牲となった企業の名前が気になるところだが、SCOは「守秘義務」だとかで詳細を明らかにしていない。しかし、いずれは明らかになるはずだ。

そもそも、SCOにはLinuxのライセンスを販売する正当な権利などない。後日、件のFortune 500企業がこの事実を知ったとしたら、穏やかでいられまい。Fortune 500企業ともなれば社内に数え切れないほどの弁護士を抱えている。これに外部(法律事務所)の弁護士も加わる。IBMが指摘しているように、SCOが問題のLinuxコードをGPLの下でリリースしていたことが明らかになったら、SCOは窮地に立たされるはずだ。

もっとも、SCOがどうなろうと当方の知ったことではない。SCOの株を保有しているわけでも、SCOのプロプライエタリなソフトウェア製品を使っているわけでもないのだから(「ライセンス販売」という名のたかり行為の被害に遭った多くの企業が共同で法的手段に訴えれば、SCOのソフトウェア製品はサポート中止になる可能性が高い)。

Linuxにはそれだけの価値がある

今回の出来事もSCOの茶番劇の1つには違いないが、実は歓迎すべきことかもしれない。なにしろ、どこかの某巨大企業が法外なライセンス料を(それを受け取る資格など最もない団体に)支払ってでもLinuxを導入しようと判断したのは事実なのだから。これは、Linuxが企業に受け入れられているのはそれが無償であるからにすぎないとする説が誤りであることを実証するものだ。

今回のSCOの暴挙は、一時的には(企業の)Linux転向への動きに水を差すものかもしれないが、長い目で見れば、むしろLinuxにとってはかつてない強力な追い風となる可能性もある。