NewsForge読者レポート:米SCO電話カンファレンス

2003年8月5日。電話カンファレンスの日だ。電話をかけ、質問がある場合は9と*(または任意のボタン)を押す。最初の質問者はWSJの記者だった。

彼は2つ質問した。その後でカンファレンスを運用している女性が、質問は1人1つだけと言った。回答に対してさらに質問をたたみかけることは、WSJ記者氏を除き禁じられた。率直に言って、SCOは質問をたたみかけられるとぼろが出てしまうようだった。

同社CEO(Darl McBride氏)の発言を聞いていると、「GPLと相容れないライセンス(SCOのライセンスなど)に従うほかの非GPLコードが含まれるソフトウェアは再配布できないと、GPLのある一節に書かれている」という意味の言葉があった。

同CEOは、同社のライセンスを$699程度に「バーゲン」すると短く語った。

また、McBride氏は、ライセンス侵害コードを見せたところ、「100人」を超えるLinux開発者がSCO社の主張に同意したとも述べた。参加者が具体名を尋ねると、匿名を希望する人も多いし、それ以外の人の名前は覚えていない、というのがMcBride氏の答えだった。ある「重要」人物についていろいろなことを語ったが、彼も部下もその人物の名前を思い出せなかった

McBride氏によると、米Red Hatは今回の新しい訴訟で「スリーシェルゲーム」[訳注:古典的な手品サギの手口で、3つのクルミの殻の1つに豆を入れ、順序を入れかえてから客に豆の入っている殻を当てさせる、というもの。途中で豆を抜き取ってしまうので、客は絶対に勝てない]に賭けており、勝ち目はないということだ。

さらに、エンドユーザーがライセンス侵害について「自白する」ことを望むとの冷徹なコメントや、音楽ファイル交換で進行している似たような「IP問題」に対する間接的な言及もあった。

過激な社会主義者の意見と思われるのは心外だが(私はそんなものではない)、まさにこれは市民個人と企業組織との闘いだった。大規模な弁護団を武器として無限の支配力と富を要求する権利が企業にあるのか、それとも「企業の作ったソフトウェアはご免だ。企業の関わらないソフトウェアに協力し、欲しい機能を追加して何が悪い」と主張する自由が個人にあるのか。

おそらく、この問題に対処する方法は、Linuxを小さなコンポーネントに分割し、エンドユーザーがそれらを組み立てるようにすることだろう。そうすれば、SCOやその手合いはLinuxより小さなエンティティ(IPスタック機能、メモリ管理機能、特定のドライバなど)しか攻撃できない。率直に言って、SCOのような訴訟ははるかに困難になり、Linuxは完成品ではなくなる。もちろん、こんなのは末端のコンピュータマニアの思い付きでしかなく、製品としてのLinuxを必要とする企業には気休めにもならない。

本件が法廷で裁かれるときは(もし本当に裁判になるのならだが)、Andrew Tannenbaum氏(SMPなどの分野の著作を持つMINIXの作者)の著作のようなものが、SCOの言う「独自のコード」がなんら特別なものではないことを示す証拠として提出されるわけで、これは見ものに違いない。

Matt Moenは、UNIX/Linuxの豊富な経験を持つシステム管理者/プログラマ(現在は無職)。経歴に合う求人があれば本人まで連絡 を。聡明な人物であり(ライターは仮の姿で本職はシステム管理)、今回は「読者の目」でSCOの狂気を的確にレポートしていただいた。――RM